「こども医療ネットワーク相談会」

60人を超す参加者が集まった「こども健康相談会」=市民交流センター

意識・呼吸・循環状態の確認を
熱・けいれんなどへの救急対応学ぶ

NPO法人「こども医療ネットワーク」(岡本康裕理事長)は10日、奄美市名瀬の市民交流センターで未就学児の保護者を対象に「こども健康相談会~家庭・学校での救急対応」を開いた。一部立ち見を含む60人以上が参加、急な発熱、嘔吐(おうと)、けいれんなどへの対処法を学んだ。

同法人は、小児医療をサポートする目的で2005年、医療関係者が中心になって作ったグループ。県内の多くの小児科医が会員になっており、辺地・離島医療にも注力している。

相談会は、鹿児島市立病院の小児科医、山田浩平さん(34)が「こんな時どうしたらいい」などと題し講演。専門医の立場から症状を診るポイントを「意識・呼吸・循環(水分摂取・排尿)状態の確認」と説明した。

「発熱のほとんどはウイルス性。1~3日で緩和する。重要な臓器への影響もない」「元気があり水分が取れていれば解熱剤は使わなくていい」と話した。

一方で、「発熱時に水分が取れず、ずっと泣いている、機嫌が悪いなどの場合、肺炎・尿路感染症・髄膜炎など細菌感染が疑われる」と解説した。

けいれんについては「熱性けいれんがほとんどで、意識がしっかりしていれば大丈夫。脳への後遺症もない」と説明。治まらせようと抱き上げることはせず、(嘔吐することを想定して)体を横向きに寝かすよう指導した。症状が長引いたり、繰り返す場合は「診断に有効」(山田医師)だとして動画を撮ってほしいと話した。

このほか▽鼻水・せき・発熱が続く細菌感染症をきっかけに気管支ぜんそくにつながるケースがある▽緑色の嘔吐物は細菌性腸炎の可能性▽長引く風邪症状などで抗生剤を使うと耐性菌を生む―などと解説された。

講演の後は、心臓マッサージやAED(自動体外式除細動器)を使った心肺蘇生の実技実習があった。県立大島病院や奄美市健康増進課の保健師なども協力し相談会も行われた。

同市笠利町の会社員、葛見利和さん(41)、彩乃さん(35)夫妻は、1歳の航世(こうせい)君の発熱やせきに不安があるという。「近隣の病院には小児科医が週1回来るだけ。何かあったら救急搬送に時間もかかる」と心配そうに話した。

山田医師らは、厚生労働省の子ども医療相談「♯8000」(電話)やウェブサイト「こどもの救急」などで不安を減らすことを勧めている。