「伊是名の会」クロアチア公演

会場を沸かせたクロアチア公演(提供写真)


バルコニー付きのペラ座建築様式のクロアチア国立劇場に、出演者らも気持ちを高ぶらせた(提供写真)

奄美・沖縄の伝統文化、海外に発信
拍手と歓声起き、大成功
11月には奄美でも定期公演へ

 【東京】伊是名の会(原口このみ会主)はこのほど、9回目のヨーロッパ公演でクロアチアを訪問、「観客を喜ばせるパフォーマンスで今夜リエカ(都市名)に日本の文化と伝統をもたらした」と、現地の新聞で紹介されるなど、踊りを通して、クロアチアと奄美・沖縄の文化をつないだ。

 会は5月18~25日までクロアチアを訪れ、日本大使館の協力を受け、リエカ市とオシエク市の二都市で公演を行った。この公演は日本・クロアチア共和国外交関係樹立30周年記念事業の一環として催された。クロアチア市民に日本の重要無形文化財である琉球舞踊の古典と、古典をベースに現代感覚を取り入れた奄美・沖縄の創作舞踊を紹介して日本文化及び日本に対する関心と相互理解を更に深めてもらおうとするもの。

 ツアーは舞踊メンバー21人ほか、コーディネーター、照明チーフ、クロアチア人の通訳兼ガイドとツアー客7人の計31人が参加した。海外公演はギリシャ以来の5年ぶりとなった。

 クロアチアの首都ザグレブにある日本大使館を表敬訪問のおり、「広報文化担当官より現地で空手や柔道など日本武道と俳句が人気と聞き、日本文化への関心が高いことを知った」と原口代表。

 最初の公演地リエカでロストバゲージ(空港で預けた荷物が行方不明)となった衣裳が届かないハプニングがあったが、メンバーチェンジや予備の衣装をやりくりして本番に臨んだ。メンバーの一人は「ついていけないと不安になったが『観に来てくれる人は、こちらの事情は関係ないのだからちゃんとした舞台を!』という師匠の一言で、残りの限られた時間を一人ひとりが気を引き締めて臨む公演だった。緊張とプレッシャーだったが、とても良い経験をした」と振り返る。

 また、通訳兼ガイドのエドワード片山トゥリプコヴィッチさんは「このグループはどんなハプニングが起ころうと、前向きに対処しようとするチームワークの強さを感じた。チーム一丸となって乗り越えた感動のステージだった」と感想を述べた。

 公演は曲が終わるごとに拍手と歓声が起こり、大成功だった。観客からは「私たちに舞踊を見せてくれてありがとう。素晴らしいダンスだった。またリエカに来て」とのメッセージもあった。

 2回目の公演会場であるクロアチア国立劇場はバルコニー付きのオペラ座建築様式。平日の夜間だったが、現地のダンスグループの指導者が親同伴で来場するなど、バルコニー席まで満席に。開場時間前にはロビーで日本から同行したスタッフが子どもたちと折り鶴を楽しんだり、日本のお菓子を配るなど交流を深めた。観客からは曲が終わるたびに大きな拍手とブラボーの声援がおくられた。一緒に沖縄の歌「安里屋ユンタ」も合唱するなど、ステージと客席が一つになり盛り上がった。

 「新型コロナウイルス感染以降久しぶりのヨーロッパ公演だったので更に深く心に刻まれる公演ツアーとなった。舞踊公演を通して、両国間の文化交流が深まることへの期待と、日本(特に沖縄・奄美)への観光誘致を含め国際親善となる活動を今後も続けていきたい」と原口会主は思いを新たにしていた。

 今年11月25日、奄美市の奄美川商ホール(奄美文化センター)で、奄美では6年ぶりとなる第33回伊是名の会定期公演を開催する。