遺族らが国会議員会館で集会

衆議員第2議員会館であった不適切指導の是正を求める集会(オンライン画像)

「指導死」の実態把握を
奄美市の遺族らも出席

学校での不適切な指導がきっかけで、自ら命を絶った子どもの遺族らでつくる「安全な生徒指導を考える会」は16日、東京都の衆議院第2議員会館で「子どもを自殺・不適切指導から守ろう!」集会を開いた。国会議員や遺族、支援者らが会場のほかオンラインを通じて参加。遺族らが不適切な指導で命を絶った子どもの事案などについて語り、自殺対策に教員による不適切な指導の是正を盛り込むことや、「指導死」と呼ばれるこうした自殺の実態把握の必要性などを訴えた。

集会には、2015年に不適切な指導によって自死した奄美市の中学1年男子生徒(当時13歳)の父親(45)も参加。事実誤認による不適切な指導の実態や、その後の市教育委員会の対応などが、さらに遺族の心を傷つける結果となったことなどを報告した。

このほか、集会には鹿児島市で18年に亡くなった中学3年男子生徒の母親や北海道札幌市、東京都板橋区で起きた指導死の遺族らも出席した。

指導死親の会共同代表で、00年に当時中学2年生だった二男を指導死で失った大貫隆志さんは、子どもを自死に追い込む不適切な指導として▽事実誤認に基づく「えん罪型指導」▽心理的外傷を負わせる「暴言」や「恫喝=どうかつ=」▽反省や謝罪などの「強要」▽子どもを一人にする「放置型指導」―など10項目を列挙し、特に自死につながる危険性の高い指導に「えん罪型指導」を挙げた。

また、第三者調査委員会などによる再発防止策の提言があるにもかかわらず、有効な対策が実施されない現状に大貫さんは「被害者遺族にとって、再発防止策は子どもの未来、命と引き換えに手にしたもの。遺族は子どもの死に苦しみ、原因が調査されないことに苦しみ、おざなりな調査に苦しみ、自殺に結び付いた課題をないがしろにした再発防止策に苦しんでいる」などと述べ、「次の指導死遺族を生まないために、子どもの命を守る動きを広げていきたい」と話した。

集会に参加した奄美市の遺族父親は「不適切指導の問題に国会議員をはじめ多くの人が関心を持ってもらえるようになった。考える会のメンバーとして不適切な指導に苦しむ子どもたちの命を守るため、これからも活動していきたい」と話した。

考える会は今年5月、「不適切な指導」による子どもの自殺防止対策として、自殺の原因究明や全国的な実態調査、教職員の研修などを求める要望書を文部科学省に提出している。