〝毒打つ〟ハブとの共存学ぶ

1・6㍍のホンハブにくぎ付けになる子どもたち

博物学士講座 「慌てずに対処して」 龍郷町

 龍郷町は17日、2023年度子ども博物学士講座の第2弾として「奄美の森の守り神~ハブ~」を開いた。町内7小学校から児童70人、保護者42人、未就学児8人の120人が参加し、奄美市笠利町にある1948年創業の「原ハブ屋奄美」(原武広社長)でハブと共に生きてきた島の知恵を学んだ。

 講座は、同店名物の「ハブと愛まショー」を子ども向けにアレンジしたステージと、生態や歴史を学ぶ講話の2本立て。子どもたちは2班に分かれて参加した。

 ステージは原社長の次男・良太さん(42)が担当。父・武広さん(68)の〝名人芸〟を引き継ぐべく、昨年9月からステージに立っているという。

 良太さんは「奄美には8種の陸生のヘビがいる。全てが有毒ではなく見分けることができる」と、アカマタとヒメハブを1匹ずつ箱から出して子どもたちに説明した。

 アカマタは無毒、ヒメハブは日本で最も小さな毒蛇。▽奄美で〝毒を打つ〟と表現するのは、ひとかみで0・2㏄しか体内に入らないことから▽産まれたばかりのハブも同じ量を持っており致死量に達する▽尾を中心に360度攻撃可能、攻撃範囲は1・5㍍▽夜行性で、暗闇でも目と鼻の間にあるピット器官で人の熱を感知する▽首は2㌢しかないが30㌢のものを丸飲みする―といった生態を解説した。

 ステージ後半に約1・6㍍のホンハブが出されると、「怖い~」といって後ろの席へ移動する女の子や、「おお、でかい」と身を乗り出す参加者の姿もみられた。

 講話した原社長の三男・拓哉さん(40)は「ハブは奄美の自然の一部。森を守ってきた存在だが、生活圏に現れたら危険な存在になる。ヘビに見慣れることで、慌てずに対処してほしい」と日常生活での注意点などを説明していた。

 戸口小5年・中村賢三君(10)は「ヒメハブとホンハブの頭の大きさがすごく違った。見つけたら観察してから大人に知らせる」と話した。

 講座が終わってからもケースの中のハブをスケッチしていた龍郷小6年・内野灯=あかり=さん(11)は「(原ハブ屋は)小さい時からお父さんとよく来ている。金ハブ、銀ハブとかに興味を抱いた。金ハブは気性が荒いからすぐに襲いかかってくる」と話した。