奄美地方で記録的大雨 各地の声

豪雨で冠水した奄美市住用町下役勝の国道58号(21日午前10時半頃)=奄美市提供=

「指示前に避難」「危機を感じた」「経験がない雨量」

 20日午後6時頃から奄美地方では、局地的な豪雨をもたらす線状降水帯が発生し、奄美市の住用町をはじめ各地に土砂災害警戒情報、大雨洪水警報が発令された。当時の状況、今後の対応などを各地で聞いた。

 奄美市住用町西仲間在住の和田霜析市議は「(20日)午後5時30分から雨脚が強くなり、避難指示の放送前から、床下浸水した住人たちを避難所へ誘導した」と話し、「市営住宅に5年住んでいるが、今回の大雨は初めての経験。氾濫した住用川や支流・冷川の様子を、水位が低くなり始めた午後10時以降も確認し続けた」と振り返った。

 大和村の今里集落では県道も増水し、濁流が流れた。 森忠夫区長は「道路が川のようで、危機を感じた」と証言。同集落で1950年代に発生した山の大規模な土砂崩れを思い出したといい、「多くの人が集落を出ていく大変な災害だった。(今回は)目立った報告もなく、みんな無事で幸いだった」と胸をなで下ろした。

 同集落在住の80歳代の女性は「外を見ると川の水位が増えていき、大変なことになっていると思った」と述べ、ドーン、ドーンとすぐそばで響く雷や大粒の雨音で会話の声も聞こえず、「80年以上生きてきたが、こんなに怖い思いをしたのは初めてだった」と話した。

 宇検村総務課防災担当の俊岡秀人さんは「丸2日間降り続けて、村でも経験がない雨量だった。(21日午後4時現在)土砂崩れによる通行止めのため孤立、停電中でもある平田、阿室、屋鈍集落などに対し、宇検漁協に救急、物資運搬用の船を手配済み。引き続き、村民の安全安心に努めたい」と述べた。