各地で土砂崩れや浸水被害

奄美大島では各地で土砂崩れが相次いだ(21日午後2時頃、宇検村須古)


大雨の影響で宇検村役場では浸水被害も出た(20日午後7時頃、提供写真)

奄美地方、大雨続く 古仁屋で総雨量500㍉超
宇検村6集落が孤立

 梅雨前線が停滞した影響で、線状降水帯が発生した奄美地方は21日も、大雨が降り続いた。奄美市名瀬、大和村、宇検村、瀬戸内町では土砂崩れや浸水などの被害が相次ぎ、宇検村では6集落で孤立状態が続いている。22日の明け方にかけては局地的に雷を伴った激しい雨が降る見込みで、名瀬測候所は土砂災害への厳重な警戒を呼び掛けている。(8面に写真グラフ、9面に関連記事)

 瀬戸内町古仁屋では午前8時からの1時間に50・5㍉の猛烈な雨を観測。16日午前9時の降り始めからの雨量は21日午後4時現在、瀬戸内町古仁屋543・5㍉、和泊町414㍉、喜界島280・5㍉、奄美市名瀬280・5㍉。瀬戸内町古仁屋では、6月平年雨量の1か月分を上回った。

 21日午後6時現在、奄美市住用町(西仲間、役勝の計167世帯)、大和村(今里・志戸勘、大棚、戸円、名音の計191世帯)、宇検村(名柄、阿室校区の計191世帯)で避難指示が出されている。

 住家などの浸水(速報値)は、奄美市9件(床上1件、床下8件)、大和村2件(床上2件)、宇検村24件(床上3件、床下11件)、瀬戸内町9件(床上6件、床下23件)を確認。けが人などの報告は入っていない。

 宇検村によると、県道の土砂崩れの影響で、平田、阿室、屋鈍、部連、名柄、佐念の6集落で228世帯365人が孤立状態となった。住民の無事は確認できたものの、復旧のめどは立っていない。

 奄美大島では午前7時頃、一時520戸が停電。瀬戸内町古仁屋地区と大和村戸円、名音、今里では断水が発生し、原因究明や解消に当たっている。

 交通機関では、しまバスの名瀬新港―古仁屋線などの一部が運休。大和村直行バスも今里~名音間の運行を停止した。

 名瀬測候所によると、梅雨前線は九州南部付近にあり、今後は奄美地方を南下する見込み。22日夜遅くにかけては、落雷や竜巻などの激しい突風が発生する恐れもある。22日に予想される1時間の降水量は北部・南部ともに30㍉。午後6時までの24時間雨量は、いずれも多い所で120㍉を見込んでいる。