県議会一般質問

部活遠征助成、国に制度創設要請
奄美大島の荒廃農地率
群島平均大きく上回る46・5%

 

 6月定例県議会は22日、引き続き一般質問があり、小川美沙子議員=無所属、鹿児島市・鹿児島郡区=、元山寿哉議員=自民党、日置市区=、松山さおり議員=自民党、奄美市区=、岩重礼議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=が登壇した。松山議員が取り上げた離島の子どもたちの部活動遠征費の助成拡充については県の取り組みだけでなく、国に対し助成制度の創設を要請していることが報告された。

 松山議員は質問で、助成対象となっている船舶では長時間の乗船により負担が大きいとして航路だけでなく航空運賃も対象にするよう求めた。

 これに対し地頭所恵教育長は「県が指定する大会に参加する場合、遠征費の負担を軽減するため生徒が利用する最も経済的な離島別の旅客の航路運賃の2割相当額を中学生1回、高校生2回を上限として助成している」と答弁。保護者の経済的負担が大きいことは「承知している」として、制度の拡充については「これまでも国に対し教育の機会均等の趣旨や離島における教育の特殊事情に鑑=かんが=み、離島教育の充実が図られるよう県開発促進協議会等を通じて離島生徒が参加する文化・スポーツ大会への交通費及び宿泊費の助成制度の創設を要請している」と述べた。

 生鮮食料品などを島外に依存するだけでなく農林水産物の地元供給に向けては、農業に関しては奄美大島における荒廃農地の現状と解消策が取り上げられた。米盛幸一農政部長の答弁によると、奄美大島の2021年度の荒廃農地面積は1776㌶で全農地に占める割合(荒廃農地率)は46・5%。奄美群島の荒廃農地率の10%を大きく上回っている。

 解消に向けた県の対策では、▽各種交付金を活用し農業生産活動の継続や農地保全管理の取り組み支援▽認定農業者の担い手に集約する農地管理事業や荒廃農地を含む農地の簡易な整備を支援する最適土地利用総合対策など推進▽地域での話し合いを通じて目指すべき将来の農地利用の姿を明確化する地域計画を市町村で策定にあたり支援―などが進められている。

 水産資源の有効活用は平林孝之商工労働水産部長が答弁。奄美大島周辺海域ではアオダイ、カンパチ、ハタ類など漁獲対象となる魚種が集まる漁礁を62か所整備しているが、地元要望を踏まえ23~29年度までを計画期間とする奄美地区漁港漁場整備事業計画を策定。奄美大島周辺海域においては漁礁を名瀬沖と宇検沖の2か所、イセエビの増殖場を宇検村と瀬戸内町の沿岸の2か所に整備予定としている。

 栽培漁業の取り組みでは、県水産技術開発センターで高級魚として地元の要望が強いスジアラの種苗生産技術の確立に向けた技開発が行われていることが説明された。同センターで開発された種苗は奄美大島周辺海域に放流されており、平林部長は「より多くの種苗が放流されるよう安定した生産技術の確立を図る」と述べた。