徳之島をパラスポーツの聖地に

「パラスポーツを身近に」。児童たちと交流した円尾さん夫妻=23日、徳之島町・神之嶺小で

目隠しでガイド伴奏とのランニング体験も

パラリンピック元代表の円尾さん夫妻
徳之島町神之嶺小で交流会

 【徳之島】パラリンピック元日本代表の銀メダリストで、25日の第36回トライアスロンIN徳之島大会に出場する兵庫県のパラアスリート夫妻が23日、徳之島町立神之嶺小学校(塩屋豪毅校長、児童数54人)を訪問。児童や住民たちにパラスポーツの魅力や特徴、「だれ一人取り残さない多様性のある社会づくり」の大切さも伝えた。

 パラトライアスリート夫妻は、▽円尾敦子さん(49)=視覚障がい者1級で、16年リオデジャネイロパラリンピック・トライアスロンPT5女子9位、20年東京同11位と、▽円尾智彦さん(55)=下肢障がい者(義足)で、10年バンクーバー同冬季大会・アイススレッジホッケー日本代表(銀メダル)、現在パラトライアスリート。

 訪問交流は、障がいの有無に関係なくスポーツを通じて感動し合える社会づくり。「徳之島をパラスポーツの聖地化」「パラトライアスロンIN徳之島」の実現も目指しているNPO法人パラスポーツサポーター(大阪府摂津市、浅野由貴理事長)のバックアップで実現。同サポーターら10人で訪れた。

 体育館であった交流会で、智彦さんは大学生時代のバイク事故で左足を失い、人生のどん底に打ちひしがれていた中、自分より重い下半身麻痺にして明るく前向きな入院患者との出会い。パラスポーツへの挑戦、銀メダル獲得など歩みを紹介。「『かわいそうだ』と思われていると思うが、足が無かったから今がある。みなさんも万一、自分や家族に辛い経験をしても前向きに生きて欲しい」。

 敦子さんは、左目が義眼右目の残存視力も0・01という視覚障がいについて「慣れた場所は歩けるが、自転車が止めてあったり障害物があるととても困る。お年寄りも同じ。街中で困っている人がいたら、勇気を出して『何か手伝いましょうか?』と声を掛けてあげて下さい」ともアピール。ガイドとともに泳ぎ・走るパラトライアスロンの特徴も分かりやすく解説した。

 智彦さんは義足でのランニングも披露。この後、全児童がアイマスクでガイドの誘導で、おそるおそるランニングも体験。児童代表の内彩花さん(6年生)は「困難なことがあっても、前を向いて、一生懸命にスポーツに取り組んでいることが分かった。パラスポーツを一生懸命応援したい。私はスポーツは苦手ですが、円尾さん(夫妻)に負けないよう楽しみながら取り組んでみたい」とお礼を述べた。

 夫妻は「チームまるちゃん」としてリレーの部に出場し、スイムを敦子さん、次ぐバイクは智彦さん、ランは再び敦子さんが担当。敦子さんのガイドは須波優子さんが務める。

 24日正午からは徳之島町山の飲食店「カフェ・オハナ」で〝パラスポーツアイランド〟拠点づくりへの交流会も行われる(参加自由)。