県議会一般質問

復帰歴史リーフレット作成、県全域に周知
離島の割高な消費税軽減 全国組織でも国に要請

 6月定例県議会は23日、引き続き一般質問があり、岩重仁子議員=無所属、鹿児島市・鹿児島郡区=、中村素子議員=自民党、阿久根市・出水郡区=、永井章義議員=自民党、奄美市区=、外薗勝蔵議員=自民党、薩摩川内市区=が登壇した。永井議員は奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長・改正と関連して今年が日本復帰70年の節目にあたることから子どもたちへの伝承の取り組みを求めたところ、復帰までの歴史を紹介するリーフレット作成が報告され、県内全域に周知することが示された。

 地頭所恵教育長は答弁で、奄美群島が米軍統治下に置かれたことは教科書で取り上げていることや、「復帰運動の父」と呼ばれる泉芳朗の偉業については県教委発行の『続・郷土の先人』に掲載され、社会科や道徳科などの授業で活用されていると説明。さらに現在、大島教育事務所でリーフレットを作成しており、地頭所教育長は「このリーフレットを県内全域に周知し、各学校で奄美の歴史や伝統文化に関する学習を行うことで復帰運動に関わった方々の思いが受け継がれていくよう取り組む」と述べた。

 奄美大島における血液製剤の供給体制は房村正博・くらし保健福祉部長が答弁。この中では血液の安定供給の責務を有する県赤十字血液センターに対し必要な対応を求めるとともに、関係機関で検討会を開催し出張所の設置運営に必要な経費、悪天候時のブラッドローテーションの実施に向けて協議していると説明。血液センター出張所の開設に約6千万円、365日24時間体制を維持するための人員確保運営経費として毎年約5千万円必要となるなど「人的経費的に課題がある」とした。

 県立大島病院の耳鼻咽喉科充実について福元俊孝・県立病院事業管理者の答弁によると、2013年4月から常勤医師が不在となり現在、鹿児島大学から応援診断により毎週2日外来診療が行われている。福元管理者は「常勤医が必要と考えており、これまで鹿大に対して常勤医の派遣を要請しているが現時点では実現していない。引き続き派遣要請を行うとともに、ホームページや民間の医師紹介会社を通じて募集を行うなど、さまざまな手段を通じて医師確保に努めている」と述べた。

 台風時における備蓄施設の整備について西正智・地域政策総括監は、これまでの実態調査や総合調査の報告書内容を説明。西総括監は「まず店舗や学校等に対して不足する品物の現状やその対応等について調査を行うこととしており、その結果を踏まえ市町村や関係事業者などと連携して現実的かつ効果的な対応を協議していく」と述べた。

 永井議員が「離島における命題の一つ」とした輸送コストが多くかかり本土に比べ総じて物価が高く、それに加えての消費税は負担が大きいことから、離島での消費税の軽減税率実施についての答弁があった。西総括監は「離島地域における消費税の軽減は必要と考えている」とした上で、これまで国に対し県開発促進協議会を通じて要請しているほか、21年からは有人離島を有する全国27都道県で構成する離島振興対策協議会を通じて「消費税負担軽減の検討を求めてきたところであり、引き続き粘り強く訴えていきたい」と述べた。

 永井議員は再質問で塩田康一知事の見解を求めた。知事は「輸送コストで物価が高い中での消費税は離島住民の負担が大きい。軽減を国に働き掛けていく」と理解を示した。