三太郎線夜間利用 住民枠利用わずか

実証実験に使われるGSM(奄美市提供)

5月のGW実証実験、結果報告
奄美市はGSM試走も

 三太郎線夜間利用適正化連絡事務局(環境省奄美群島国立公園管理事務所)は22日、奄美市住用町の住用公民館で、5月の大型連休(GW)中に実施した夜間利用実証実験の結果報告会を開いた。2回に分けて行われた会には住民ら12人が参加。同市世界自然遺産課からは、7月初旬に7人乗り電気自動車グリーンスローモビリティ(GSM)を使った実証実験を行うことが報告された。

 市道三太郎線周辺では、2021年10月から「東西入り口から30分ごとに1台ずつ」という夜間利用のルールを設けている。今回行われた実証実験では、観光客の増加を想定し「予約1枠あたりの利用台数を2台まで」とした場合の影響と、要望のあった「住用町住民専用枠」について調査が行われた。

 4月28日から5月7日までの10日間で検証した結果、住民専用枠での利用は3日間3件のみ。1枠2台利用は11件だった。

 住民枠については、利用者から「クロウサギについての住民の関心が薄いと感じる」などの意見が出された。2台利用については、「混雑要件にならなければ許容できる」という意見がある一方、1台での利用者から「すれ違う車両が多く混雑感がある」といった意見も出された。

 ガイドアンケートでは、野生生物の観察頭数に差異はみられず、ロードキルの上昇にもつながっていないとされた。

 事務局では夏休み中の8月10日から20日、2回目の実証実験を行う。GWの結果を受け、住民専用枠の予約が埋まらない場合、2日前に一般開放する。2台利用については、混雑感を減らすため車間を空けず走行することを徹底、トラブル発生に備え無線連絡手段を講じることなどを推奨するという。

 世界自然遺産課からは、GSMの実証実験を7月3日から数回行うことが報告された。GSMとは、時速20㌔未満で公道を走ることができる電動車、フル充電で30~40㌔走行可能とされる。エコツアーガイドを同乗し往復約22㌔を試走、野生生物への影響なども検証する。

 信島賢誌課長は「環境負荷の少ないGSMの実証実験は意義がある。ナイトツアー活用の課題を調査したい」と期待を語った。