医療費の負担を軽減することで、子どもの疾病の早期発見と早期治療を促進し、健康の保持増進を図ることを目的に、医療費の自己負担分を県と市町村で助成する「子ども医療費助成制度」。鹿児島県は一定額を超えた場合に助成対象としているが、県内38市町村では自己負担額を求めず全額助成しており、奄美は10市町村が該当する。一方、5市町が自己負担を求めているが、この中に奄美からは徳之島町と与論町が含まれている。
19日にあった定例県議会代表質問で取り上げられた。岩田俊郎子育て・高齢者支援総括監の答弁によると、県では課税世帯については未就学児を対象に月3千円を超える自己負担額について自動償還払い方式(医療機関窓口で、保険診療の一部負担金を一度支払ってもらい、後日、助成金を振り込む)で助成。非課税世帯に対しては、経済的な理由から医療機関の受診を控え症状が重篤化することを防ぐため、2018年10月に未就学児を対象に自己負担のない現物給付方式(医療機関等の窓口で受給資格者証を提示)を導入、21年4月に対象を高校生まで拡充している。
県から市町村への補助実績は、19年度約6億6千万円、20年度約5億4千万円、21年度約6億9千万円、22年度約7億2千万円となっている。
県内市町村における実施状況をみると、課税世帯に対し自動償還払い方式を採用しており、多くの市町村が独自の判断で対象者を拡大して助成を行っている。対象年齢は、県は未就学児を対象にしている中、11市町が中学生まで(奄美では伊仙町)、31市町村では高校生まで(奄美では奄美市、大和村、宇検村、瀬戸内町、龍郷町、喜界町、天城町、和泊町、知名町、与論町)対象に助成している。県子ども家庭課によると、県内38市町村(うち奄美は奄美市、大和村、宇検村、瀬戸内町、龍郷町、喜界町、天城町、伊仙町、和泊町、知名町)は自己負担を求めず全額助成しているが、自己負担を求めている5市町(奄美は徳之島町と与論町)のうち3市においては一定年齢以下について自己負担を求めていない。
なお全国の状況は、各都道府県で現物給付方式のみを採用しているのは、今年4月時点で36都道府県。うち27都道府県は金額などさまざまだが、一定の自己負担額を徴収しており、窓口負担ゼロとなっている27都道府県のうち20都道府県は住民税非課税世帯についても自己負担を徴収している。対象年齢もさまざまで、高校生まで対象として非課税世帯の窓口負担をゼロにしているのは鹿児島県のみという。