奄美初ミロコマチコ展

代表作「あっちの耳、こっちの目」の前で解説するミロコマチコさん

龍郷町戸口 私設美術収蔵庫「The倉庫」で
オープニングレセプションで本人解説

 龍郷町戸口の私設美術作品収蔵庫「The倉庫」は25日から9月29日までの期間、奄美大島在住の画家・絵本作家ミロコマチコさんの企画展「あっちの耳、こっちの目」を開催している。これに先立ち24日、同町や奄美市の教育関係者など100人以上を招待しオープニングレセプションを開催した。本人が館内の作品を30分以上かけて解説し、ミロコさんのファンが列をなして聴き入っていた。

 「The倉庫」は、一般社団法人セレンビティ奄美(渡伸一郎代表)が運営する子ども図書館「放浪館」に2022年9月に新設された〝美術品収蔵庫〟。企画展は、ミロコさんのファンでもある渡氏から「オープン企画イベントを」との申し入れがあり実現した。奄美大島では初めての開催となる。

 ミロコさんは19年6月に奄美大島に移住。「移住してすぐ渡さんから連絡があった。今年の巡回作品展の最後(鹿児島市開催)にも連絡があり、『奄美の子どもたちに本物のアート作品を見てもらい、感じて心を豊かにしてほしい』と依頼された」という。

 企画展は、2012年のデビュー時の初期作品から20年代まで平面25、立体6作品を展示。初期作品と、奄美に移住してからの作風の変化が楽しめる。

 ミロコさんは「以前は実在する動物を野生への憧れから描いていた。奄美に来てからは自然の中にうごめく想像上の生き物を描いている」と話した。

 企画展のタイトルにもなっている絵本作品「あっちの耳、こっちの目」は、東北地方の動物を〝ミロコ目線〟で描いた作品。描かれた「耳」は人間から見た話、「目」はカモシカから見た話になっているという。

 代表作の一つでもある平面作品「草っぱらの竜」(21年作)は、収蔵庫入り口前に高さ3㍍以上の立体作品としても展示。館内には10分の1スケールの着色立体模型1体、20分の1スケール3体も展示されており、比較してみるのも楽しい。

 作品を見た法島亜由さん(38)は「絵本とは違った感覚。色彩感覚が飛び抜けている。青いものが赤く見えているんじゃないかとすら感じた。すごくいい時間だった」と感想を述べた。

 渡氏は「作品の押し付けはしない。ただ来てもらって感じてもらえればいい」と言葉少なに語った。

 同企画展は月・水曜日、金~日曜日の午後1~5時。入場無料。国道58号から戸口方面「アウンリゾート」の赤い看板が目印。

 「放浪館」では、明治期の反戦画家・保忠蔵の絵画なども常設展示。敷地内には、埴輪=はにわ=を想起させるようなブロンズ像(ジョイ・ブラウン作)などが設置されている。