奄美地方 待望の梅雨明け

ドラゴンフルーツ畑に流れ込んだ、がれきや土砂の撤去作業が続く(26日午後2時過ぎ、瀬戸内町久慈)

古仁屋、沖永良部は 平年2倍以上の降水量
被災地復旧作業続く 「二次災害の心配消えない」

 鹿児島地方気象台は26日、「奄美地方が梅雨明けしたとみられる」と発表した。平年(6月29日ごろ)より3日早く、昨年(6月22日ごろ)より4日遅かった。梅雨期間中の降水量は古仁屋と沖永良部で平年の2倍以上となり、連続して発生した線状降水帯による記録的な大雨で土砂災害などが発生した被災地では復旧作業がなおも続いており、「ようやく、やっと明けた」と安堵=あんど=の一方、二次災害を心配する声も聞かれた。

 同気象台の発表によると、奄美地方は太平洋高気圧に覆われておおむね晴れ、「向こう1週間も、引き続き太平洋高気圧に覆われて晴れる日が多い見込み」としている。梅雨入り日の最高気温は名瀬で31・3度と「真夏日(30度以上)」に突入、古仁屋(30・0度)と天城(31・4度)、伊仙(30・0度)は今年最高を記録した。

 梅雨期間中(速報値)の降水量(平年値)は、▽名瀬757・5㍉(524・9㍉)▽笠利590・0㍉(456・2㍉)▽喜界島725・0㍉(382・1㍉)▽古仁屋992・0㍉(480・3㍉)▽天城668・5㍉(429・2㍉)▽伊仙631・0㍉(419・3㍉)▽沖永良部770・0㍉(383・3㍉)▽与論島487・5㍉(351・9㍉)。各地で平年値を上回ったが、なかでも古仁屋(平年比207%)と沖永良部(同201%)は平年の2倍以上の降水量となった。

 奄美地方は5月18日に梅雨入りし、6月19日には奄美南部で、20日には同北部で線状降水帯が発生。記録的な大雨により、宇検村や瀬戸内町など奄美大島の南部では土砂災害や浸水などで大きな被害が出、同村では最大で6集落が孤立した。

 土石流が発生し農作物への被害のほか、集落内にも土砂が流れ込んだ瀬戸内町の久慈集落。梅雨明けしたこの日は平日ということもあり、集落住民主体で復旧作業が続いた。武田政文区長(79)は「梅雨明けしたが、台風などによる二次災害の心配は消えない。集落内の土砂は大方除去でき、生活に困らない程度には復旧した。元の生活に戻るまでは気が抜けない」と語った。