ウクライナへ救急車譲与

ウクライナ国旗を手に行われた譲与式。(左から)上村眞由理事長、鎌田愛人町長、カタオカソフィアさん(28日=瀬戸内消防分署)

 

 

「多くの命を救って」
瀬戸内町

 

 

 瀬戸内町は、ロシアとの戦闘が続くウクライナに高規格救急車1台を贈ることを決定し、大島地区消防組合瀬戸内分署で28日、NPO法人2団体への譲与式を行った。贈られた救急車はベルギー、オランダを経由し同国の首都キーウに8月頃到着予定。譲与式で鎌田愛人町長は「一人でも多くの生命を守る役割を果たすことを光栄に思う」と述べた。

 譲与を受けたのは、三重県を拠点にウクライナへの中古救急車の寄付活動を行っているNPO法人「SunPanSa」(上村眞由=まさよし=理事長)。同法人は、全国の消防組合に寄付を依頼する手紙を送る活動を続けてきた。これまでに、三重、栃木から1台ずつ寄贈され、贈られた救急車は同国南部のオデッサで稼働しているという。

 上村理事長は「寄付の話は、4月初め現地(ウクライナ)で聞いた。26日に瀬戸内町に来て、地元の人との交流もあった。戦争で苦しんだ歴史を知り、現在のウクライナと結び付いたんだと感じた」と語った。

 また、「現地では消防車のニーズが非常に高い。ロシアからの攻撃で電気・水道などのインフラが破壊され、医療施設も機能しなくなっている。東部や南部から負傷者を運ぶのは非常に困難な状況にある。初期治療と搬送が同時にできる(高規格)消防車は本当にありがたい」と感謝した。

 今回の活動は、ウクライナ人道支援の寄付活動などを行っているNPO法人「日本ウクライナ友好協会KRAIANY(クラヤヌィ)」も共同で行う。譲与式に出席したウクライナ出身で東京在住のカタオカソフィアさんは、「27日もボランティアが集まるレストランが攻撃を受け、子どもが1人亡くなった。1日50台の民間車両が壊されている。こうした寄付を受けると、世界が母国を支援していると感じ心の支えになる」と心境を明かした。 

 寄贈された消防車は2007年、同町が購入、08年に配備された。購入金額は約2300万円。5月10日に救急車としての運用を終了した。酸素吸入器や心電図モニター、防震ベッドなどを備え、車内空間が高く設計され救急救命措置が取りやすい仕様になっている。

 KRAIANYのSNSの投稿には「7月に神戸を出発する」とあり、大島地区消防組合や関係者への感謝がつづられている。