23年分最高路線価

今年の発表分から大島税務署の最高路線価所在地は「屋仁川通り」に変更された

大島署7年連続横ばい
奄美市商業地 観光客増で需要高く上昇
所在地、屋仁川通りに変更

 熊本国税局は3日、2023年分(1月1日時点)路線価を発表した。税務署別最高路線価で鹿児島県内11署の場合、上昇は1署(鹿児島)のみ、横ばい7署、下落3署(川内、鹿屋、知覧)で、昨年なかった上昇があり、横ばい3署増、下落は4署減と好転している。大島署は7年連続の横ばいだが、最高路線価の所在地(奄美市名瀬)がこれまでの中心商店街(中央通り)から飲食店やホテルなどの宿泊施設がある屋仁川通りに変更、周辺の商業地域では観光客の増加による需要の高まりで上昇が出ている。

 相続税などの申告の便宜及び課税の公平を図る観点から、国税局(所)では毎年、全国の民有地について、土地などの評価額の基準となる路線価及び評価倍率を定めて公開している。

 熊本国税局管内のうち鹿児島県内の状況をみると、最高路線価が最も高かったのは鹿児島市東千石町「天文館電車通り」の91万円(1平方㍍あたり)で、昨年の90万円から1・1%上昇した。上昇は20年以来3年ぶり。最高路線価の下落率が最も大きかったのは、南さつま市加世田本町「国道270号線」の3万1千円で、昨年の3万2千円から3・1%下落している。

 県内の地価動向については、国土交通省発表の地価公示(23年1月1日時点)コメントや不動産鑑定士の意見をまとめている。それによると、県内商業地全体の地価動向は、景気動向、背後地人口の減少、郊外の大型商業施設への顧客流出、商圏の分散化などにより1992年以降、32年連続の下落だが、下落幅は昨年よりわずかに縮小した。

 地域別で鹿児島市の商業地では、昨年に引き続き今年も微増傾向。同市以外の市部の商業地は、背後地人口の減少などにより衰退、地価は下落している。ただし奄美市名瀬の商業地は異なる。木下登・不動産鑑定士は「名瀬の商業地に注目している。屋仁川通り、埋め立て地、その周辺の入舟町、港町といったエリアでは地価が上昇している。世界自然遺産登録により観光客が増加しているためで、県内でも勢いがある地域。飲食や宿泊といった観光関連産業の伸展が見込まれ、商業地の需要が高まっている」と指摘する。

 なお、大島署の最高路線価は前年まで15年以上連続で同市名瀬末広町の商店街だったが、中心市街地としての評価が低下傾向にあるという。

 住宅地の方は、県内住宅地全体の平均は昨年に比べ下落幅は縮小したが、依然下落(25年連続)が続いている。地域別で鹿児島市全体では、昨年に続き今年も微増。鹿屋市、薩摩川内市では郊外部では下落傾向が続くものの、市中心部での地価は下げ止まる地域も見られるようになったという。