県議会最終本会議

記録的な大雨により土石流が押し寄せた瀬戸内町久慈集落。仮設の上流堤設置などの対策が進められる(災害発生時=提供写真=)

上流堤設置や河川土砂除去
瀬戸内町久慈災害復旧対策で報告
副知事に大塚氏同意

 6月定例県議会は5日、最終本会議があり、2023年度一般会計補正予算(第2号)など議案17件を可決、専決処分2件を承認した。請願・陳情で、奄美関係の新規陳情2件はいずれも不採択となった。常任委員会委員長報告で総合政策建設委員会からは瀬戸内町久慈の災害復旧対策の報告があり、仮設の上流堤設置や河川の土砂除去作業が説明された。

 先月19、21日の記録的な大雨により同町久慈集落では、土石流が発生して山から大量の土砂や流木などが押し寄せ、マンゴーハウス全壊やタンカンなどのかんきつ樹木流出があり、集落内にも土砂が流れ込んで住家の浸水など深刻な被害に見舞われた。

 今後の台風や集中豪雨により二次被害も懸念されている中、同委員会は土木部の答弁を報告。土砂などの流入対策では大型土のうを設けての仮設の上流堤を設置し、集落に流れ込まないようにしていく。砂防課によると今後、砂防施設の設置が必要か検討していくが、専門家の意見では周辺の地形は勾配が緩やかなため流れ込みにくい構造にあるという。集落内を流れる川内川は町管理の河川。災害により土砂で埋まったが、緊急的に対応するため河川の埋設に関わる災害復旧事業を活用し土砂の除去を計画。町建設課によると、先月28日に工事契約を済ませ、翌日から取り除く作業に着手している。

 2人配置している副知事のうち、総務省出身の須藤明裕氏(53)が任期を2年弱残し今月9日付で退任することから、後任として同省出身で、地方公共団体金融機構資金部長の大塚大輔氏(50)=鳥取県出身=の選任に同意を求める議案が追加上程された。塩田康一知事は「多様化、複雑化する行政課題に対し、大塚氏は長崎県や宮城県に勤務経験があり地方自治のほか、大使館に勤務するなど国際情勢にも熟知しており適任」と提案理由を述べた。これに対し女性議員らから「県の政策面で女性の意見を反映させるためにも女性副知事を登用すべき」と反対意見が出たが、賛成多数で同意された。大塚氏は「塩田知事の下、地方自治体での業務経験を生かし、県勢発展のため誠心誠意努めていきたい」と述べた。

 採決された請願・陳情のうち、奄美関係の新規陳情で不採択となったのは「奄美群島上空での米軍機による訓練飛行禁止を求める」「奄美を戦場にしないために平和外交を国に求める」の2件。意見書は、「地方財政の充実・強化」「教育環境の整備充実」「保育士等配置基準の見直し及び処遇改善」の3件を可決。このうち地方財政の意見書では、▽コロナ禍からの経済社会活動の回復や原油価格・物価高騰対策に対応できるよう必要な財政措置▽増大する地方自治体の財政需要を的確に把握し、これに見合う地方一般財源総額の確保▽地方財政の財源不足については、臨時財政対策債等による特別の対策ではなく、法定率の引き上げをはじめ抜本的な措置―などを求めている。