与論町で県内初確認「ヒゲマダライナゴ」

与論町で発生・被害が確認された「ヒゲマダライナゴ」の成虫と、サトウキビ葉の食害状況(県病害虫防除所ホームページより)

サトウキビの葉に食害
ドローン使い薬剤防除へ

 県は5日、与論町のサトウキビほ場で、県内で初めて「ヒゲマダライナゴ」の発生・被害が確認されたと発表した。大型のバッタで、葉の6割以上が食害されたほ場も一部で見られたという。発生が認められたほ場では、ドローンを使っての薬剤防除などの対策が進められる。

 県の経営技術課や病害虫防除所によると、先月28日、同町役場から大島支庁へイナゴによるサトウキビ食害の連絡があり、30日、大島支庁及び農業開発総合センター大島支場が現地調査を行った。

 調査により、発生ほ場は与論島の北~東側の中心に点在しており、発生ほ場面積は約10㌶で、葉の6割以上が食害されたほ場も一部で見られたという。今月4日には、このイナゴがヒゲマダライナゴであることを農林水産省門司植物防疫所名瀬支所が同定した。

 国内では沖縄県の宮古島、八重山諸島に分布するが、成虫、幼虫とも群れる習性があり、タイワンツチイナゴやトノサマバッタと比べて飛翔能力が劣るため、局所的に多発生することが多いという。与論島での発生要因は不明で、「島の中の同じほ場で主に確認されており、広範囲には広がっていない。沖縄の両地域でこの時期の発生・被害報告はない」(病害虫防除所)としている。現在のところ県内他地域での発生・被害は確認されていない。

 防除対策では、▽発生が認められるほ場では、薬剤防除を行う。散布は、活動の鈍い早朝に一斉に行うのが効果的で、近隣作物への飛散に注意▽次年度対策として、サトウキビの株出しほ場では、収穫後に畦=あぜ=間を耕運し、卵の塊を破壊。ふ化は短期間に起こる性質があることから、若齢幼虫の集団を発見したら、速やかに薬剤防除▽キビほ場周辺のイネ科雑草は若齢幼虫の好適な餌となることから除草―などを挙げている。

 町産業課は「ドローンを使っての薬剤防除になる。風が強いためできていないが、収まり次第対応したい。防除作業を行うのは生産者だが、ドローンの使用希望申し込みを町糖業振興会や産業課で受け付けており、また薬剤についても補助していく」と説明。イナゴが卵を産むとサトウキビへの被害拡大が懸念されることから、早めの防除に取り組む。
 

メモ

 ヒゲマダライナゴ 国内では宮古島、八重山諸島、海外では台湾、中国、ベトナム、タイ、インドに分布。成虫、幼虫ともにサトウキビの葉を食害。成虫は体長40~70㍉の大型のバッタ。触角は黒白のまだらで、体色は淡緑色で光沢があり、前胸背の横溝が黒く明瞭。発生は年一化性で、幼虫は5月から、成虫は6~10月に出現。卵期に干ばつが続くと多発しやすいとされている。