「二次災害が不安」

土砂などの集落への流入を防ぎ河川に導くため、上流では災害復旧事業を活用した河川工事が進められている(集落内を流れる川内川)

 

台風などによる二次災害の発生を不安視する武田政文区長

 

 

流れ込み防止へ川に導く大型土のう設置計画
瀬戸内町久慈

 

 

 先月の記録的な大雨により瀬戸内町久慈集落では土石流が発生し、果樹園などの畑や集落内まで土砂・流木などが押し寄せ、甚大な被害が出た。土砂などの除去は進んでいるものの、今後の台風や集中豪雨による二次災害が不安視されている。県や町は集落などへの流入を防止するため、大型土のうを設けて河川に導く「導流堤=どうりゅうてい=」設置を計画しており、河川を埋めている土砂を取り除いた後、着手する。

 久慈集落(武田政文区長、61世帯92人)内には二つの河川(川内川と小勝川)がある。大雨時に集落が警戒するのは河川の氾濫だが、先月20日に発生した線状降水帯がもたらした記録的な大雨では川ではなく、集落中央の農道から土石流が集落内に押し寄せた。

 当時の状況について武田区長(79)は「集落の奥にそびえ立ち、宇検村境のユフ山(標高約500㍍)の一番高い部分が崩れ、そこからの土石流が川のような状態になった農道を通じて大濁流となり集落に押し寄せた」と振り返る。災害後の復旧については「町をはじめとした行政機関のほか、島内各地から駆け付けた各種団体・出身者、ボランティアの支援もあり、土砂などは大方除去できた」と語るとともに、「ようやく生活できるようになったが、二次災害が心配で安心できない。同じ事態を繰り返すことがないよう早急な対策を進めてほしい」と訴える。

 県砂防課によると、対策として砂防施設の設置が必要か検討しているが、土砂などの流入を防ぐため、1立方㍍の大きさの土のうを2段組む予定で導流堤設置に取り組む。設置場所は「集落と谷の出口の適切な所」を検討しているが、設置時期は河川に導くようにすることから、災害により土砂で埋まった河川の復旧を優先しなければならない。集落内の河川は町の管理で、町建設課は先月末で工事契約を終了、土砂を取り除く作業を上流からすでに着手している。県は町の工事と調整していく方針。

 武田区長は「小勝川は土砂のほか、流木が橋にまだ引っかかった状態。作業の進展をお願いしたい」と語った。