JR博多駅で「瀬戸内マルシェ」

JR博多駅商業施設内で開催された「奄美・瀬戸内マルシェ」。試食を通してPR販売されたパッションフルーツは好評だった(提供写真)

手応え、被災地に勇気
パッションフルーツなど人気

 1日あたり30万人以上の乗降客の利用があるとされる福岡市のJR博多駅。多くの人の流れが見込まれることから、県福岡事務所は昨年から県内の観光や県産品のPR活動を毎月1回のペースで、同駅の商業施設内で行っている。7月は土・日に合わせて8、9の両日、「奄美・瀬戸内マルシェ」と銘打って開催。旬の果物パッションフルーツや黒糖製品などをPR販売したところ、試食後に購入する来場者が相次ぎ、記録的大雨被害に見舞われた被災地に勇気を与えた。

 瀬戸内町商工会と県福岡事務所が主催したマルシェ(市場)には、㈲古仁屋農産、西田製糖工場、㈱まんでぃの3事業者が参加し、出展した。被災時には断水や停電があったものの、パッションフルーツ、タンカンなどを原料にしたジュースなど加工品を予定通り造り、催しに間に合わせたという。

 会場では出展者が、6~7月が収穫期のパッションフルーツ、加工品、黒糖製品などをPR販売。駅を利用する旅行客や買い物客が足を止めた。中でも人気だったのがパッションフルーツ。主催者によると、まず味わってもらおうと出展者は試食用を準備したところ、独特の爽やかな香りに誘われるように人の列ができ、自ら積極的に試食。化粧箱、袋入り、果実1個のばら売りに分けて販売すると、例年より糖度が高いこともあり「甘酸っぱくて、とてもおいしい」「以前にも食べたことがあり、パッションフルーツが好きになった」と感想を寄せながら、試食に満足した来場者が買い求めた。並べると、すぐに売り切れになるほどの人気だったという。

 また、「奄美の旅行を予定している。名瀬から笠利方面を計画していたが、(きょうの体験で)加計呂麻島にも行ってみたくなった」との声も聞かれ、瀬戸内町の観光PRにもつながったようだ。

 出展者からは「購入者から災害に対する激励もいただいた。パッションフルーツの売れ行きからも予想以上の反響。福岡は魅力的な市場と実感できた」との手応えと同時に、「パッションフルーツを知らなかった人もいただけに、福岡でのこうした催しを継続していくことが大事」との指摘があった。

 県福岡事務所では、JR博多駅商業施設内でのPR活動を企画。福岡都市圏在住者などを対象に継続・定期的に実施することで、鹿児島県の観光や県産品の認知度を高め、県内への誘客促進につなげようと昨年10月から開催しており、こうした取り組みへの参加を県内市町村の関係機関に働き掛けている。奄美関係では今年に入り2月に沖永良部島の切り花、6月には喜界島の加工品のPR活動があった。瀬戸内町はこれに続いてで、町商工会が参加に向けた窓口になった

 県福岡事務所は「県は場所の確保や開催に向けた準備などを協力している。地元産品のPR販売活動は、関東・関西の大都市圏が中心だと思うが、こうした地域よりも距離的に近く、さらに近隣諸国とも直結している福岡の市場としての魅力や将来性に注目してほしい」と今後も奄美からの参加を期待している。