徳之島、逆転勝ちで2回戦へ

【1回戦・徳之島―鶴丸】7回表鶴丸二死二塁、3番・別枝の中前打で二走・中村が本塁を狙うも好返球でタッチアウト。捕手・上原=鴨池市民球場

10日樟南第二、指宿と対戦
高校野球鹿児島県大会 第6日

 【鹿児島】第105回全国高校野球選手権記念鹿児島大会第6日は9日、鹿児島市の平和リース、鴨池市民の両球場で1回戦6試合があった。

 奄美勢は徳之島が鶴丸に4―2で逆転勝ちし、2回戦に勝ち進んだ。

 第7日は10日、両球場で2回戦6試合がある。奄美勢は樟南第二が指宿と対戦する。

 =鴨池市民=
 ◇1回戦
鶴丸
 000002000 2
 00000220× 4
徳之島
【鶴】山王―別枝
【徳】大澤、嶺本―上原▽二塁打 山王(鶴)、加2、嶋田(徳)
(鶴)
307226330210
打安点振球犠盗併失残
31104321008
(徳)

 【評】両右腕エースを中心に五回までは両者無得点で守り合いの展開。六回表に2点を先制された徳之島だったがその裏、無死満塁として、相手のけん制悪送球、併殺崩れで同点に追い付いた。七回は二死二塁から2番・加、3番・嶋田が連続適時二塁打で2点を勝ち越し。七回からリリーフした2番手・嶺本は九回まで毎回走者を出しながらも、味方が好守で盛り上げ、鶴丸打線に追加点を与えなかった。

先制されても慌てず 「集中途切れなかった」 徳之島

 徳之島は大事な夏の初戦を見事逆転勝ち。地頭所眞人監督は「無失策で守り切れたのが大きい。最後まで集中が途切れなかった」と、守備の出来をいの一番の勝因に挙げた。

 六回表に2点を先制されたが「みんな慌てることなく、雰囲気も良かった」(正岡大暉主将)。前半の緊迫した展開から一転、後半は点の取り合いになりそうな雰囲気の中でも、地に足のついた落ち着いた守備ができた。一塁手・嶋田はフェンス際の難しいファールフライを捕り、遊撃手・勝は九回表、先頭打者の二遊間の打球に飛びつき、一塁アウトを取った。堅実な守りだけでなく好守も生まれ、力投を続けた先発・大澤、2番手・嶺本の投手陣を盛り上げ続けた。

 夏前は「自分たちから崩れないこと」(正岡主将)をテーマに練習してきた。昨秋の鹿屋中央、今春の鹿児島城西、NHK旗の神村学園。敗れた試合は相手の力もさることながら、自分たちから崩れて大差をつけられた。

 「基本の練習をひたすら繰り返した」と二塁手・加壮真。キャッチボール、トスバッティングなどの基本練習を徹底して見直した。「主体練」と名付けている自主練習では「それぞれが守備、打撃で抱えている課題に率先して取り組んだ」(正岡主将)成果を夏の初戦で発揮することができた。

 掲げた「夏の頂点」という目標に向かってまず1勝を挙げた。正岡主将は「これから対戦するチームも強い相手ばかり。試合までの練習を大事にして一戦必勝で挑みたい」と気持ちを引き締めていた。(政純一郎)

 「思い切り振れた!」 徳之島・加壮真二塁手

 七回裏、盗塁死で好機がついえたかと思われたが、二死二塁で打席が回ってきた。

 初球を迷わず強振。鋭いライナーの打球が左中間に抜け、会心の勝ち越し二塁打を放った=写真=。

「思い切り振れました!」

 「寡黙な男」(地頭所眞人監督)の表情にも思わず笑みが浮かんだ。

 大会前、島を出るまでは打撃不振で悩んでいたという。解決の糸口は見出せなかったが「迷っていてもしょうがない。何も考えずに思い切ってやるだけ」と開き直った。

 四回の2打席目はチーム初長打となる二塁打。2点先制された直後の六回裏の先頭打者では左前打で出塁し、反撃の口火となる1点目のホームを踏んだ。開き直りが功を奏し、3安打1打点の活躍で難しい初戦を勝ち切る原動力となった。

 二塁の守備でもゴロを確実に処理し「自分から声を出し、周りを巻き込んで」落ち着いた守備で野手陣を引っ張った。

 攻撃でも守備でも「基本練習を徹底して繰り返した」成果を出せたことを、夏勝ち続けるための自信にしたいところだ。(政純一郎)