奄美で響く「孤高」の音色

世界的バイオリストの佐藤美代子さん(右から2人目)らによって繰り広げられた演奏会(8日、県奄美パーク)

バイオリニスト、佐藤美代子さん
奄美パークで演奏会

 世界的バイオリストの佐藤美代子さんらによる演奏会、ソリストの伝言Vol・3「島のみなさんと共に 音よ舞えコンサート」が8日、奄美市笠利町の県奄美パークで開催された。屋内ステージでは、バイオリンのほか、ギターの伴奏やオルガン演奏があり、曲目もクラシックからボサノバまで展開。さまざまな楽器で奏でられた音色が、会場内に響き渡った。

 佐藤さんは、9歳からバイオリンを学び、東京芸大在学中の19歳、国費留学生として渡仏。パリ・コンセルヴァトワールのバイオリン科を首席卒業後、ソリストとして活躍している。東京在住。

 この日は、バッハのプレリュードやビバルディ四季の「夏」、ギター伴奏による歌謡曲を演奏した。ほかにも、瀬戸内町在住の歌手・ミヤタトモコさんがボサノバを披露し、奄美市在住の詩人、仲川文子さんが佐藤さんをオマージュした詩「音よ舞え」をコーラスで合唱。観客と共に「島のブルース」も歌われ、会場を大いに盛り上げた。

 主催した音楽療法士の前田キヨ子さんによると、佐藤さんの奄美との出会いの一つに、「田中一村」の絵があるという。「孤独の中の心の豊かさが出会った」と評し、佐藤さんが2年前に診断された「認知症予備軍」も、CD制作、そして、「よりいい演奏がしたい」という新たな夢に向かうとともに改善。「80歳を迎えた孤高のソリストの演奏を通し、奄美の方々に元気と希望を受け取ってもらえれば」と、次回開催に向け期待を述べた。

 佐藤さんは今回、宇検村の小中学校でも演奏会を行う。11日は名柄小中学校・田検中学校・小学校、12日は久志中学校をそれぞれ訪問する予定。