メスのアオウミガメ救出

救出されたアオウミガメを救出、海に返す興さん

名瀬の浄化センターで 産卵で上陸、迷い込んだか
無事に海に戻る

 奄美市名瀬長浜町の市名瀬浄化センター近くの側溝で13日早朝、身動きできなくなったアオウミガメが見つかり、奄美海洋生物研究会長の興克樹さん(52)や市職員らによって救出作業が行われた。ウミガメは発見場所から100㍍ほど離れた長浜港の船だまりまでトラックで運ばれ、市民らが見守る中、無事に海に戻っていった。ウミガメは擦り傷はあるものの、大きなけがはなかった。

 市世界自然遺産課などによると、同日午前5時頃、同浄化センターの海側の護岸沿いで“迷子”状態になっているウミガメを散歩中の男性が発見、同8時30分頃、市下水道課に「助けてほしい」と連絡があった。その後、市からの要請を受けて興さんが同9時頃に現場に駆け付けた。

 救出には、同浄化センターの改修工事中の作業員らも協力。深さ50㌢ほどの側溝から人力で引き上げた後、重機を使ってトラックに乗せ、長浜港まで運んだ。

 興さんによると、救出されたのはメスのアオウミガメ。甲羅の長さが95㌢、体重は100㌔以上とみられ、アオウミガメの中でも最大クラスの30歳を超える成獣という。

 夜間に、産卵のため発見場所から300㍍ほど離れた水浜(みずばま)に上陸したものの、産卵場所を探す途中で、砂浜の奥にある階段から2㍍ほど下の護岸内側に転がり落ち、迷い込んだとみられる。水浜や階段近くの砂地にはウミガメが上陸した痕跡が残っていた。

 興さんは「アオウミガメは比較的砂浜の奥に産卵する習性がある。階段部分から落ちたことで、衝撃も少なく大きなけががなかったので良かった。日中の暑くなる前に発見、救出できたことも不幸中の幸いだった」と話した。

 奄美大島の海岸では毎年、夏の時期にウミガメが産卵のため上陸。これまでにも、護岸や消波ブロックなどに迷い込むケースが報告されているという。興さんは「今回は発見者含め、多くの人の協力によって無事救出することができた。もし、迷い込んだウミガメを見つけたら自治体や奄美海洋展示館などに連絡してほしい」と話している。