サシバ生態調査へCF

越冬のため奄美大島に飛来したサシバ(資料写真)

日本鳥類保護連、奄美野鳥の会も協力
絶滅危惧種 300万円目標に20日から寄付募集
奄美大島「越冬地で重要な役割」

 絶滅危惧Ⅱ類に指定されているサシバは、奄美大島では9月下旬頃から姿を見せ始め、2000羽以上が越冬するとされている。公益財団法人日本鳥類保護連盟は生態調査に乗り出すため、インターネットにより資金を調達するクラウドファンディング(CF)で寄付を募る。300万円を第一目標に募集開始は20日から。CFにはNPO法人奄美野鳥の会、国際サシバサミット運営委員会も協力している。

 同保護連によると、サシバは中国から韓国、北朝鮮、日本で繁殖し、フィリピンなどで越冬する渡り鳥。国内では青森県から鹿児島県にかけて繁殖し、奄美大島から南で越冬。日本で繁殖する個体もフィリピン以南まで渡り越冬しているが、詳細は分かっていないという。

 「奄美大島がサシバの越冬地として重要な役割を担っている」として同保護連では、奄美野鳥の会やアジア猛禽類ネットワークなどと共同で調査(全島一斉カウント)。越冬個体の実態把握により「2000羽以上のサシバが奄美大島で越冬している」ことが判明した。越冬を支えているのは「奄美大島の海岸線から低地にかけての林や農耕地などの環境」として、サシバの越冬地保全へ「奄美大島全体の自然環境を視野に入れた保全対策が必要。一方、サシバは渡り鳥であり、越冬地だけでなく繁殖地も視野に入れて保全を検討しなければならない」と受け止めている。

 同保護連が調査の必要性として挙げるのが、「奄美大島で越冬している2000羽ものサシバがどこから来ているのか」。国内から来ているのか、国外から来ているのか渡り鳥にはいろいろなパターンがあるため、「より多くの事例が必要」とする。情報を得る調査方法では、サシバにGPSタグを装着しての衛星追跡に乗り出す。これまでにも東北地方でGPSタグを装着し衛星追跡した事例があり、そのデータと合わせて奄美大島のサシバの移動生態、移動距離について知見を得ることができれば、全国のサシバの越冬地を予測することも可能と考えられるとしている。

 CFの媒体はREADYFOR(レディーフォー)で期間は8月31日まで。窓口は日本鳥類保護連盟。寄付に対するリターン(支援者へのお返し)はサシバをデザインしたトートバック、エコバック、粘土細工の羽のアクセサリーなど。問い合わせは公益財団法人日本鳥類保護連盟電話03・5378・5691まで。