海から地球環境考える

専門家や画家、プロサーファーがそれぞれの立場で海について考えたトークイベント

研究者×画家×プロサーファー
パタゴニア企画 奄美市でトークイベント

 アウトドアブランドのパタゴニア日本は「海の日」の17日、海の回復力をテーマにしたトークイベントを奄美市名瀬の奄美海洋展示館で開いた。海岸環境保全の研究者や画家、プロサーファーをパネリストに、今世界の海で何が起こっているのかを学び、海からつながる地球環境について考えや意見を述べ合った。

 同社のブランド創立50周年企画の一環。パネリストは、海岸環境保全・再生などが専門の九州大学院生態工学研究室准教授の清野聡子さん、龍郷町在住の画家で絵本作家のミロコマチコさん、同社サーフアンパサダーで一般社団法人NEDIの碇山勇生さんで、進行役を同社環境・社会部門の中西悦子さんが務めた。

 清野さんは、地球規模で進む化学物質や漂着ごみによる環境汚染についての現状を解説し、「海を俯瞰=ふかん=的にみると、個体、液体、気体の交わる場所で、化学的にはまだまだわかってないことの方が多い」と指摘。「昔の人は台風と暮らし、海流が世界規模で循環していることもすでにわかっていた。(今は)間にある割り切れないものが浮き上がり驚いている状態。暮らしに身を置いて、経験を蓄積していくことが大事だ」と呼び掛けた。

 2019年に東京から移住したミロコさんは、集落でインスピレーションを得た自著『みえないりゅう』について解説。「集落の人は見えないものに感覚を研ぎ澄ませ、(自然や季節の循環などの)この世界を見てきた。見えないものを感じる世界。ちょっとでも触れてほしい」と訴えた。プロサーファーの碇山さんは、「波は怖いが、生きていると感じられることが大好きだ。リスペクトしながら奄美の海をどのように次の世代につなぐか考えていかなければならない」などと話した。

 トークイベントでは親子ら約50人が耳を傾けた。同館1階では、ミロコさんの特別展示「海とわたしたち」も合わせて開催している。8月20日まで。