天城町地域おこし協力隊

3年間の実績をたたえられた天城町地域おこし協力隊の小林美晴さん(19日、同町役場)

ルーツの島で「移住コンシェルジュ」貢献
小林美晴さん〝卒業〟
服飾ブランド化へ

 【徳之島】天城町企画財政課ふるさと創生室の「移住コンシェルジュ」として3年間、貢献した地域おこし協力隊の小林美晴さん(36)=大阪府出身=の活動報告会と協力隊〝卒業式〟が19日、同町役場であった。最前線での任務を通じて「移住者増にはきめ細かなサポートと見守る体制、移住前・後のサポートが大事」と述べ、謝意を示した。今後は同町を拠点にアパレルブランドの確立に専念する。

 小林さんにとって徳之島・天城町は母方の祖母の出身地。マレーシアと日本で保健体育の教諭も務め、国内外での引っ越し体験は13都市(海外4)に上る。ルーツの島来島のきっかけはイタリア在住時の徳之島出身者との出会い。3年前に同町の地域おこし協力隊の募集を知り、服飾関係とアーティスト業を並行しながら、同町「移住コンシェルジュ」に任命された。

 ふるさと創生室の主業務は、①移住情報の発信や支援②ワ―ケーション③空き家対策④ふるさと納税推進―など。移住コンシェルジュ・小林さんの任務は、SNSを活用した移住情報の発信、移住スカウトサービス「SMOUT」への掲載や情報発信、オンラインおよび現地移住相談会、フェア出展参加、移住希望者案内、オンラインイベント企画・開催(交流会・体験ツアー)、移住決定者へのサポートなどと幅広い。

 その3年間を総括する報告会には、森田弘光町長をはじめ町職員ら約50人が自主参加。福健吉郎・企画財政課長は冒頭、「東京や大阪などでの移住相談会には何度も参加。明るい性格で相談に応じ、ふるさと創生室経由では22年度で16組27人の移住者がこの天城に永住。 この3年間、120~150%ぐらいやっていただいた」などと評価した。

 小林さんは映像を交え3年間の活動の一端を報告。農業研修生OG「山羊山やぎ子」の独自キャラも創出して演じアピールしたIターン就農誘致では、町農業センターに島外研修生2組を受け入れ、さらに2組増が見込めることにも期待した。

 そして、移住促進の課題として「発信して知ってもらうから、中身を濃くする段階に入った。情報発信のプロへの依頼も必要。移住者を増やすには、きめ細かなサポートと見守る体制が大事であり、移住前と移住後のサポートの継続を」ともアピールした。

 既移住者のうち3組からは「小林さんのおかげで、天城町で楽しく暮らせています」などサプライズ動画メッセージの紹介も。続いて行われた〝卒業式〟では森田町長が証書を授与して功績をたたえた。

 小林さんは今後、地元特産のパッションフルーツの色素やミツバチの蜜蝋(みつろう)染めなども活用したアパレルブランドの確立に専念。天城町を拠点に、近く関西方面でポップアップストアも展開して本格始動するという。

 小林さんは、感謝の気持ちを込めた職員らのアーチに送られて会場を後にした。一地域おこし協力隊の実績をたたえる報告会と〝卒業式〟は同町でも異例という。