伊仙町肉用牛振興会

苦境を越え3年ぶり対面開催の伊仙町肉用牛振興会総会(優秀農家表彰)=20日、同町ほーらい館

生産資材高騰・子牛価格大幅下落
〝二重苦〟耐えて意欲

 【徳之島】JAあまみ伊仙町肉用牛振興会(宮永誠会長・会員395戸)の2023年度総会は20日、同町ほーらい館であった。国際情勢などによる飼料・肥料など資材の高騰に加えた子牛販売価格の大幅下落と苦境が続く中、優秀農家を表彰し活動計画など全議案を承認。もうかる和牛経営への講演会にも真剣に耳を傾け、逆境克服への気概を新たにした。

 コロナ禍で3年ぶりの対面開催に。宮永会長(43)は開会あいさつで「コロナに始まり、円安、ウクライナ情勢で生産資材が高騰、農家経営を非常に圧迫。日本の食料自給率はカロリーベースで約37%だが〝実際は10%程度〟との指摘も。米国の約132%は国土の面積だけではなく、政府の手厚い農業保護政策が背景」。農家の自助努力の限界も訴え、農業保護政策のより強化を訴えた。

 JAあまみ徳之島事業本部の平山正也統括理事は、子牛セリ価格の大幅下落で厳しい現状に関し「(1頭当たり)採算ラインは60万円だと思っている。国の肉用牛子牛生産給付金事業や子牛生産臨時経営対策事業、JAが窓口となっている飼料価格安定対策事業などをしっかりと評価しながら陳情したい」などとした。

 同町内の22年度子牛セリ成績報告によると、全販売頭数は3153頭(前年比51頭増)だが、販売総額は14億4779万4千円(同比2億1955万1千円減)に後退。1頭当たり平均単価は51万7千円(同比11万4千円減)に「暴落」した。

 表彰と大久保明町長あいさつに続き協議。22年度報告や収支決算、23年度活動計画・収支予算、規約改正案を承認。次ぐ講演会では㈱微生物化学研究所・獣医師(獣医学博士)の凾城(はこぎ)悦治氏が「みんなが儲かる和牛経営~1年1産をめざして~」を演題に講演した。

 表彰は次の通り。(敬称略)

 【子牛売却価格】▽去勢の部 實島利啓(小島)109万8千円、田畑範子(崎原)108万3千円、樺山ノリ子(中伊仙)99万3千円▽雌牛の部 ㈱基山大宝(崎原)88万3千円、㈱基山大宝(同)85万3千円、㈱盛牧場(西目手久)80万6千円

 【個人表彰】米田美千代(佐弁)、原和也(木之香)、迫田徳子(崎原)