初の観光基本計画公表 宇検村

観光基本計画の策定を公表した元山村長(右)と新元代表

10年間の指針 地域の魅力生かし稼ぐ力創出へ
居住人口増、最終目標に

 宇検村は19日、村観光基本計画「見えないモノを感じる観光プロジェクト計画書」の内容を公表した。計画は、今年3月に村が策定したもので、2023年度~32年度まで10年間の同村の観光振興の指針となる。計画では、居住人口を増やすことを最終目標に掲げ、地域にある魅力を生かした稼ぐ力の創出などを目指す。八月踊りや豊年祭などの地域行事に観光客が参加する体験型観光や、かつて地域の交通手段だった小型船を活用した観光メニューの創出なども盛り込んだ。同日、設立した宇検村観光物産協会を中心に具体化を進める。

 同村が観光基本計画をつくるのは今回が初めて。22年度事業として、奄美市の一般社団法人「巡めぐる恵めぐる」に作成を委託。昨年9月に村や商工、観光団体、地域住民代表らでつくる策定委員会(保池広和会長、11人)を組織、村内4地域で住民との意見交換会を開くなどして計画をまとめた。事業費は450万円。

 計画では同村の観光拠点施設「ケンムンの館」をプラットホームに▽交通▽遊ぶ▽食べる▽泊まる▽お土産―の5項目を観光コンテンツとした観光地づくりを推進。「風に触れ、土に触れ、人に触れ、五感で感じる心旅」をテーマに、地域にある魅力を生かした観光資源や特産品づくりなどを行うことで、地域の稼ぐ力の創出を目指す。

 また、久志、田検、名柄、阿室の校区ごとの特色を生かした観光メニュー化を図るため、アクションプランとして▽ガイドを伴わない観光▽ガイドによる観光▽集落暮らし体験観光▽宇検らしさの創出―などを掲げている。

 体験型観光では、集落に滞在し農林水産業の体験や豊年祭などに参加するほか、かつて同村の交通手段だった小型船を復活させ住民の暮らしと観光に活用させる計画などを提案。
観光客と住民との交流を通して、地域の魅力を発信することで、将来的な定住促進につなげることを最終目標に位置付けている。

 同日、村役場であった発表会見には元山公知村長と巡めぐる恵めぐるの新元一文代表(52)が出席、計画内容などについて説明した。元山村長は「宇検村が大切にしてきた自然や暮らし、文化を強みとした村民のための観光振興を進め、関係人口の創出、定住促進を図っていきたい」などと述べた。新元代表も「住民と一緒に10年後の宇検村が魅力ある地域になるよう、住民が主役となった観光振興を図っていきたい」と話した。