知事定例会見

農林水産物輸出額327億円
最高額更新 米国トップも5%減少
離島で多いコロナ感染「分かりやすい注意喚起要請」

塩田康一知事の定例記者会見が21日、県庁であった。2022年度の県産農林水産物の輸出実績が発表され、前年度比5%増の約327億円となり、前年度に引き続き11年度の公表開始以降での最高額を更新した。

知事は「全ての品目において輸出額が増加した」と説明。増加要因については▽輸出国において、新型コロナウイルス禍で落ち込んでいた外食需要が回復▽小売店での販売が引き続き堅調▽円安による海外市場での競争力の改善▽輸出額の約4割を占める牛肉、約3割を占める養殖ブリを中心に増加―を挙げた。

輸出額を品目別にみると、畜産物は牛肉を中心に約134億円(前年度比9%増)、農産物は抹茶やサツマイモを中心に約23億円(同21%増)、林産物は丸太を中心に約34億円(同2%増)、水産物は養殖ブリを中心に約136億円(同1%増)。輸出先は米国(養殖ブリ・牛肉など)がトップの約138億円だが、前年度比5%減少。米国に次いで香港(牛肉や鶏肉など)が13%増の約47億円、中国(丸太や養殖ブリなど)が18%増の約37億円。米国の減少は牛肉の輸出で低関税枠が消化され、日本から低関税で輸出できる枠がなくなったのも影響している。知事は「日本の和牛は、ある程度値段が高くても買ってもらえる。米国での市場開拓に力を入れたい」と述べた。

今年3月に改訂した県の農林水産物輸出促進ビジョンでは、輸出目標額を25年度までに約500億円としている。知事は「500億円の実現に向けて官民一体となって輸出拡大に取り組む。さらにさまざまな努力をし、必要な対策を進めていきたい」と決意を示した。

県内ではインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症がともに増加している。新型コロナについて知事は「子どもたちの感染のほか、地域別では離島が多い」として手指消毒、定期的な換気、場面に応じた適切なマスク着用を呼び掛けた。定点把握は全数把握に比べ「分かりにくい」との指摘について知事は「分かりやすい注意喚起の在り方としてインフルエンザのような注意報、警報の発令を引き続き国に要請していきたい」と述べた。

塩田知事は今月28日には就任3年となり、1期目の任期は残り1年となる。知事はこれまでの3年間について「コロナ対策を最優先で取り組んできた」と振り返るとともに、その間の大きなイベントでは奄美の世界自然遺産登録も挙げた。4年目に向けてはコロナ禍からの経済回復を確実にしていくためにも物価対策や人手不足対策、国と合わせた子育て政策の強化などに取り組むとした。