奄美市「おがみ山バイパス」

道路工事の着工を知らせる看板や通行止めバリケードが設置された「おがみ山バイパス」の名瀬真名津町側

名瀬真名津町側で着工
名瀬中近く一部通行止め トンネル工事は来年度から

 奄美市名瀬永田町と名瀬平田町間をトンネルなどで結ぶ国道58号おがみ山バイパスの名瀬真名津町側の道路改良工事が18日から始まった。工事に伴い一部で通行止めの措置が取られており、駐車場などとして利用されていた名瀬中学校前の道路予定地周辺には、工事着工を知らせる看板などが設置されている。県大島支庁建設課によると、今回の道路整備の工事期間は来年2月26日までで、トンネル出入り口となる道路の擁壁整備などが予定されている。トンネル本体工事は2024年度から着工の予定で、工期は27年度までだが、供用開始時期は決まっていない。

 おがみ山バイパス事業は、交通渋滞の緩和や災害対応の強化などを目的に、1998年度に都市計画が決定し、奄美市が進める同市名瀬末広・港土地区画整理事業などとも連動する事業として、02年度に事業着手された。しかし、「地元の合意形成が不十分」などの理由から、09年12月にトンネル本体などの工事が中断。整備計画は暗礁に乗り上げた。

 その後、18年2月に奄美市が県へ整備促進を求める要望書を提出。同市が行った地権者への意向確認調査で、約9割からバイパス整備の賛同を得られたこともあり、県は19年度に事業再開を決定。設計の修正や用地買収などが進められてきた。

 バイパスの総延長は約1800㍍で、事業用地は約1・4㌶。名瀬永田町と名瀬真名津町を結ぶトンネルの延長は1225㍍。このほか、トンネル出入り口から現道に接続する約300㍍の道路をそれぞれ整備する計画で、一部は整備済みとなっている。

 県は今年度当初予算に事業費として約14億2千万円を計上。今回、着工された工事はトンネルの名瀬真名津町側出入り口に接続する道路部分で、未整備だった約55㍍の道路側面擁壁の整備などを行う。また、来年度から着手するトンネル掘削は名瀬真名津町側から取り掛かることにしており、今年度末までにトンネル工事の発注を行う予定という。

 総事業費は、事業再開前は約140億円を見込んでいたが、同課は「事業計画の見直しや物価高騰などに伴う資材費、人件費の上昇もあり、現在精査中」とし、今回、道路整備に着手したことについては「バイパスは、交通渋滞の緩和など地元住民の期待も大きい。工事期間中は周辺住民に迷惑をかけることがあるかもしれないが、市民の協力を得ながら、安全に事業を進めていきたい」としている。