小湊集落で「シマあるき」

小湊フワガネク遺跡と小湊集落の成り立ちなどについて、須山教授(右)の説明に聞き入る参加者ら

 

 

歴史や文化、景観の魅力に触れる
「昔ながらの暮らしや多様な植生残る」
博物館講座

 

 奄美市名瀬の小湊集落の歴史、文化景観を巡るシマあるき(奄美博物館主催)が23日、同集落であった。市民ら24人が参加、奄美観光大使で駒澤大学文学部地理学科の須山聡教授(59)とともに、同集落にある国指定史跡「小湊フワガネク遺跡」や厳島神社などを巡り、同集落の歴史や文化などを学んだ。

 シマあるきは、奄美博物館が2022年度から実施している講座で、昨年11月の名瀬中心市街地、今年3月の笠利町赤木名地区に続き3回目。

 参加者らは2時間ほどかけて、集落内を散策。小湊漁港周辺では、集落が海岸砂丘を利用し形成されたことや2010年に国史跡に指定された小湊フワガネク遺跡から夜光貝をはじめとした多くの貝製品が出土したことなどを学んだ。また、同集落が海上貿易の拠点として栄えたことや、小湊海岸にある景勝地「鯨松」にまつわる逸話などにも耳を傾けた。

 集落内では畑の防風林として多くのソテツが植栽されていることなども紹介された。

 須山教授は「小湊集落は古くから豊かな自然環境によって食料や水に恵まれ、海運による交易などによって安定した暮らしができたことで、奄美の中でも比較的大きな集落を形成していった」などと述べた一方で、近代になると名瀬中心部が交易の中心となったことで開発が遅れたこともあり、

「昔ながらの奄美の暮らしや多様な植生が残されている」などと話し、同集落の歴史や文化の魅力を指摘した。

 集落内でのフィールドワークを終えた参加者らは、同集落の小湊へき地保健福祉館で5、6人のグループに分かれ、それぞれに意見を集約、発表した。

 小湊小学校に3年間通ったことのある同市名瀬朝仁新町の栄田馨さん(75)は「子どもの頃の記憶がよみがえり懐かしかった。小湊集落の魅力をもっと多くの人に知ってもらえるよう、今回の体験を生かしていきたい」と話した。

 笠利町赤木名地区のシマあるきに続き2回目の参加となった同市名瀬平松町の政廣辰さん(71)は「小湊集落が海上貿易の拠点として栄えたことが分かった。毎回、地域の歴史や文化に触れることができて楽しみにしている」と話した。

 須山教授は「奄美にはそれぞれの集落にそれぞれ違った魅力がある。シマあるきを通して、参加者同士が語り合いながら地域の魅力を再確認し、これからの地域づくりに生かす方法などを見つけ出す機会にしてもらいたい」と話した。