「奄美・沖縄にこそ日本の〝勝ち筋〟が」 観光庁・星氏講演

24市町村長らが5年ぶり一堂に会した「奄美・やんばる広域圏交流推進協議会」総会。円内は講師の星氏=24日、徳之島町

 

 

5年ぶり徳之島で対面交流
奄美・やんばる広域圏交流推進協

 

 
 【徳之島】奄美群島広域市町村圏および沖縄北部広域市町村の地域間交流を進める「奄美・やんばる広域圏交流推進協議会」(会長・渡具知武豊北部広域市町村圏事務組合理事長=名護市長、24市町村で構成)の総会が24日、徳之島町亀津のホテルであった。役員改選では新会長に群島広域事務組合管理者の安田壮平奄美市長を選任。観光庁観光政策調整官の星明彦氏が講演。ポストコロナの観光政策、持続可能な地域経済社会づくりには「日本の原点、精神性を永く引き継いできた奄美・沖縄にこそ日本の〝勝ち筋〟がある」など強調した。

 同広域交流推進協は、歴史的・地理的につながりの深い奄美群島と沖縄県北部(やんばる)両地域の交流推進を図るため1999年7月に設立。総会と情報交換会、視察研修など毎年両地区持ち回りで開催。18年以降はコロナ禍もあり中止やオンライン開催を余儀なくされ、5年ぶりの対面開催に。徳之島町開催は8年ぶり。奄美群島と北部の両広域事務組合(各12市町村)の首長や議会議長、担当課長ら約80人が出席した。

 渡具知会長は開会あいさつで「本協議会も設立25年目。地理的・歴史的なつながりの深い両地域が連携し、世界自然遺産を生かした交流事業を加速化。観光、農業など各種産業の振興と持続可能な地域づくりの推進を」。副会長の安田奄美市長も国頭村と与論町の姉妹都市盟約や音楽交流祭、青少年ら自然・文化交流、世界自然遺産登録にもふれ「今年は奄美群島が日本復帰70周年の年。今後もやんばる地域の皆との交流を促進し、お互いの地域振興に」などとエールを送った。

 観光庁観光政策調整官(内閣府沖縄総合事務局運輸部長)の星氏は演題「ポストコロナの観光政策と持続可能な地域経済社づくり~奄美・やんばるを、日本の新たな経済社会をリードする心豊かで持続可能な『世界的ディスティネーション(目的地・行き先)』に~」で講演した。コロナ禍を経て目指す新たな観光立国推進基本計画、①持続可能な観光地づくり②インバウンド回復③国内交流拡大の3戦略の概要なども解説。

 その上で、「世界はホンモノを求めている」として、①観光地化されていない地域への訪問②文化や食に独自性、多様性や洗練されたコンテンツ要素、親切で友好的な国民性も魅力③地方のローカル色の強い地域への訪日客が多い―などインバウンド・ニーズの傾向を強調。「世界から選ばれ・誇りある・持続可能な観光経済と地域社会」づくりには「域内生産額の拡大、住まう人の所得、雇用および生活の質の向上」「文化・伝統・自然・地域社会など地域に永く引き継がれた価値の持続可能性を高め、未来に継承すること」とも強調。

 そして「日本の原点、精神性を永く引き継いできた奄美・沖縄にこそ、日本の〝勝ち筋〟がある」。特に徳之島に関しては「土質、地形からも固有の歴史・文化・食をもたらした根拠。これからの徳之島が世界に勝つための〝勝ち筋〟が見える」とも述べた。

 同日午後1時ごろからは島内視察研修もあった。総会・講演会後は伝統芸能「イッサンサン」(伊仙町犬田布)や島唄も鑑賞しながら交流会を開いた。