希少野生生物対策協・奄美大島

希少野生生物対策協・奄美大島

野生生物の持ち出し対策など協議した奄美群島希少野生生物保護協議会の奄美大島会合(25日、奄美市名瀬)

希少種保護へ連携確認
アプリ活用の生物持ち出し対策など協議

 奄美群島希少野生生物保護対策協議会(会長=中山直樹・県自然保護課長)の奄美大島会合が25日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。来島者の増加で懸念される野生生物の持ち出しや、昨年、過去最多となったアマミノクロウサギのロードキル(交通事故死)件数などを報告。世界自然遺産登録後の希少種保護に向けた連携強化を確認した。

 協議会は2006年発足。希少野生生物の保護対策を各関係機関で調整・協議する。この日は、環境省や県、奄美大島5市町村などの関係者約40人が出席した。

 協議事項は、▽希少野生生物の盗猟・盗掘防止対策▽アマミノクロウサギなどのロードキル対策▽外来種対策―の3点。

 環境省は22年度、奄美空港で検挙事案に該当しないもののアマミノコギリクワガタ、オカヤドカリなどを持ち出そうとした47件を確認。生態系への影響などを理由に、来島者への周知啓発ほか、試験運用中の希少種を判別するアプリなどを活用した水際対策を継続するとした。

 アマミノクロウサギのロードキルは22年、107件と過去最多を更新した。瀬戸内町道網野子峠線、大和村福元湯湾線、村道マテリヤ線などで多発。23年も6月末時点で74件(保護後に死亡した2件含む)と昨年同期比1・85倍と増加傾向にある。対策として4月から運用する交通事故件数の表示板ほか、侵入防止柵の設置、モニタリングを徳之島など新たに2区間で実施する。

 外来種対策については、特定外来生物の計画的な防除に取り組むと報告。奄美大島で根絶を目指す▽ツルヒヨドリ▽ボタンウキクサ▽オオフサモーなどを挙げ、防除の優先度については、今後検討するとした。

 質疑応答では、特定外来種には該当しないものの在来種に影響があると考えられるコケセンボンギクモドキなどへの対策、協議を要望する意見があった。