サトウキビに関係する二つの組織の総会が開かれた(写真は奄美群島糖業振興会)
奄美群島糖業振興会(会長・森田弘光天城町長)の2023年度定期総会、奄美群島さとうきび価格対策協議会(会長・窪田博州JAあまみ代表理事組合長)の第50回定期総会が26日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。糖業振興会では23年度事業計画でサトウキビづくり優秀農家表彰に代わり共励会開催を決定。「キビ“1”グランプリ」(仮称)として自身の栽培方法発表などプレゼンテーション力を競い、最高のグランプリ受賞者には賞金30万円も贈って若手生産農家などの意欲を高める。
【糖業振興会】市町村長、JA、製糖会社、事務局の県大島支庁農政普及課の関係者が出席。22年度事業実績及び収支決算、23年度事業計画及び収支予算などの議案を承認した。
この中では22年産の群島全体のサトウキビ生産実績が報告された。それによると生産量37万8170㌧(平年比97%)、収穫面積7229㌶(同97%)、10㌃あたり単収5231㌔㌘(同99%)となり、ほぼ平年並み。分みつ糖工場の操業実績は、原料処理量が前年比3%減の37万3504㌧、歩留まりは前年産より0・01?高い12・36%、産糖量は前年産を1387㌧下回る4万6165㌧。品質は、平均買い入れ甘しゃ糖度14・74度となり、基準糖度帯以上の割合は94・2%の高い割合となった。
23年度事業計画で新たに取り組むのが共励会開催。事務局説明(案)によると、検討会(8月予定)を開き、各所属キビ担当に内容を諮った上で実施するが、各島のキビ生産者の減少・高齢化が進む中、次世代を担う若い生産者の生産意欲向上を図るのが目的。各地域で参加者(参加資格=50歳未満で3作以上のサトウキビ生産実績がある人)を募集後、審査会場で自身の栽培方法や取り組み、魅力などについてプレゼンを行い、その発表を審査員及び会場で発表を見た生産者や関係者が採点する。表彰ではグランプリには賞金・トロフィーがあり、準グランプリにも賞金10万円が贈られる。
この案について出席した首長から「ぜひやってほしい。プレゼンの機会によって若い生産者の自覚・やる気につながる。賞金額でたくさんの人が関心を持つのではないか」と賛同する意見が出た。一方、開催時期や審査方法に「十分な検討を。現場の声を聞き、吸い上げてほしい」との要望があった。
【価格対策協】市町村長や議会議長、JA、農業委員会会長などが出席。22年度事業報告・収支決算、23年度事業計画・収支予算などの議案を承認した。
23年度活動の具体的展開(要請活動)では、▽生産者が意欲を持って生産を続けられるよう再生産可能な交付金単価の確保▽生産資材(肥料等)の価格高騰に対する支援処置▽後継者や法人、作業の受託組織を育成するための支援措置▽「さとうきび増産基金」事業を23年度以降も継続して行うとともに万全の予算確保▽無人ヘリやドローンなど無人航空機の使用が可能な農薬登録の促進―などを掲げている。
このうち交付金単価の引き上げについて出席者から「現在の1万6千円から2万5千円、さらに3万円台まで具体的な額を示し引き上げを」「中小規模でも生活できる価格設定が必要で、要請活動では奄美群島だけでなく種子島、沖縄と国内のキビ生産地域が一緒になって国に働き掛けを」などと、引き上げに向けて活動の強化を求める意見があった。