奄美群島希少野生生物保護協・徳之島地区

ロードキルや外来種対策などを協議した奄美群島希少野生生物保護対策協・徳之島地区=26日、天城町役場

 

 

特定外来種「シロアゴガエル」の音声誘引装置(徳之島町諸田池)

 

 

県「侵入防止柵」設置へ
過去最多ロードキル対策
外来種対策の現地視察も

 

 【徳之島】奄美群島希少野生生物保護対策協議会(会長=中山直樹・県自然保護課長)の徳之島地区協議は26日、天城町役場であった。徳之島ではアマミノクロウサギのロードキル(交通事故死)が2022年は40件と過去最多を更新し、今年も同様のペースあることから、県が多発ルートの一つである県道花徳浅間線(徳之島町手々~金見区間)で初の侵入防止柵設置に着手することが報告された。また、徳之島に侵入・定着している特定外来種「シロアゴガエル」の現状も共有し、音声誘引装置などの現地視察も行った。

 主催の県自然保護課をはじめ環境省、林野庁、3町行政、オブザーバー(県希少野生動植物保護推進員)など関係者約30人が出席。中山会長は、観光客など増加傾向にも伴う希少種の盗掘・盗採や島外持ち出し、国際自然保護連合(IUCN)からも指摘されているクロウサギのロードキル対策などへの連携を要請した。

 環境省によると、徳之島でのクロウサギのロードキルは6月時点で16件と、過去最多の昨年に迫るペースで推移。背景として「生息状況の回復、生息地拡大による道路への出没増など要因が考えられる」として、関係機関・部局が一体となった対策の強化を求めた。

 ロードキル多発区間の県道、農道沿いへの「防獣ネット」設置はこれまで徳之島、天城両町の各1地点で試みられている。県側は県道手々~金見間を対象に同島では初のクロウサギ侵入防止柵の設置計画を報告。基本構造は瀬戸内町道網野子峠線と同タイプ(延長400㍍、自動撮影カメラによるモニタリング付き)。来月にも施工する方針を示した。

 今年に入り侵入・定着が確認されたシロアゴガエルの現状について環境省は、島内580地点で生育調査した結果、徳之島町南東部を中心に一部伊仙町東部に至る計33地点(沈砂池27、ため池2、プール2)で確認された(いずれも18日時点)。

 環境省は6月2日からNPO法人に捕獲駆除事業を委託。今月8日時点の駆除数は成体約700匹、卵塊約1400個。新たな監視・捕獲補助として、オス個体の鳴き声に反応して鳴き返す習性「コールバック」を利用する音声誘引装置3台を徳之島町の「諸田池」などに設置した。

 一方、天城町内の一部ため池などに侵入・定着・増殖し、外来生物法では条件付き特定外来生物に指定されたばかりの「アメリカザリガニ」について同町は、駆除事業を今年度から本格化させる方針も示した。

 室内協議後は、徳之島町内の農道沿いの「防獣ネット」や、諸田池のシロアゴガエル音声誘引装置などの設置状況を現地視察した。