30日「土用の丑の日」

「土用の丑の日」を前に特設の販売コーナーも。県産をはじめとした国産ウナギかば焼きの価格は昨年並みにしている(グリーンストア入舟店で)

ウナギ商戦 昨年並みに抑制も
仕入れ値上昇、専門店は価格改定

 厳しい暑さが続く中、夏場のスタミナ源として根強い人気を誇るのがウナギだ。30日には「土用の丑=うし=の日」を迎えるが、稚魚の不漁や物流コストの上昇などで県産をはじめとした国産は高値が続いている。奄美の専門店の中には仕入れ値の上昇により小幅ながら価格改定に踏み切ったところがある一方、小売りスーパーの中には昨年並みに抑制する動きも。それでも安価な中国産に流れる傾向が強まるとの見方も出ている。

 奄美市名瀬に複数の店舗がある地場スーパーのグリーンストア(里綾子社長)。ウナギの需要について赤尾均統括課長は「丼物の弁当類を含めて通年で販売しているが、やはり夏場は書き入れ時」と話す。30日は一部の店舗では入り口でじかに焼いて、焼きたてのかば焼きが味わえるよう店頭販売に乗り出す。「土用丑の日」が身近になりそうだ。

 食料品の物価高が続く中、消費者にとっては値段が気になるところ。一尾2千円弱と昨年並みに抑えているという。鮮魚担当のバイヤーによると、養殖ウナギを取り扱う県内の問屋との交渉では半年前と早期に行ったことで実現したもの。それでも中国産はほぼ半値と安く、県産品という安心感や品質面などから「値段が高くても高齢層などは県産をはじめとした国産を好むものの、全体的な傾向としては中国産に流れるのではないか」としている。

 専門店も「例年以上に今年は忙しい」とうれしい悲鳴。仕入れ値の上昇などから価格改定に踏み切った所もある。「7月から2年ぶりに値上げした。それでも100円程度と少額にとどめており、値上げしても客足に影響はない。お客さんは多い」と影響はないようだ。

 流通量の多くを占める養殖のウナギは、稚魚を半年から1年程度、池で育ててから出荷する。供給量の減少が価格高騰を招いており、水産庁によると、養殖だけでなく輸入を含む全国のウナギ供給量は2021年の数字では6万3000㌧で、00年の4割程度まで減少している。