野村哲郎農林相に要望書を手渡す市町村長会、議会議長会の一行
自民党奄振特別委との意見交換では坂本哲志事務局長、保岡宏武衆院議員に要望書を手渡した
【東京】奄美群島市町村長会(会長・高岡秀規徳之島町長)と奄美群島市町村議会議長会(会長・向野忍瀬戸内町議会議長)は28日、国の2024年度予算編成に向けて奄美群島振興開発事業(奄振)の推進に関する要望活動を関係省庁で行った。一行は農林水産省、国土交通省などに要望書を提出、関係国会議員との意見交換もあった。
今回のポイントは「奄美群島振興開発特別措置法の延長・拡充」「奄美群島の自立的発展に向けた振興開発の推進」「独立行政法人奄美群島振興開発基金の機能強化」についての3項目。23年度末に期限を迎える奄振法の延長・拡充に向けた要望では、奄美群島の宝(自然環境、文化)を次世代につなぐ「つなぐ宝」、農林水産業等の産業振興によって所得を確保する「稼ぐ力」、デジタル技術で教育・移住定住環境を整備し、つなぐ宝、稼ぐ力を推進する「支える基盤」の三本柱となっている。また、「振興開発の推進」では市町村事業分として奄振交付金25億9800万円を要求額(国費)としている。
高岡会長と安田壮平奄美市長(奄美群島広域事務組合管理者)らは、農水省で野村哲郎農水相を訪問した。安田市長は「種子島を例に奄美の農業についての話が印象的だった。要望については、しっかり受け止めていただいた」と感触を語った。
一行はその後、衆議院第一議員会館会議室へ移動。自民党奄美振興特別委員会事務局長の坂本哲志衆院議員、保岡宏武衆院議員らと対面。高岡会長が要望内容を説明、意見交換した。人口減少、移住の希望が増加する中での空き家問題、沖永良部島の上水道対策、依然として高い航空運賃、いまだにつながらない瀬戸内町の与路島・請島の光回線などが課題であることを確認していた。委員長の森山裕衆院議員は、衆院各選挙区の支部長を決める会議が長引き欠席となった。
冒頭で「熊本に奄美ファンを増やしていきたい」とあいさつした坂本事務局長は「やることが多過ぎるが、森山委員長とも連携して、全力を尽くしていきたい」と力強く語った。
このほか新川康枝県大島支庁長、奄美群島振興開発基金・本田勝規理事長らの一行は国交省へ要望書を提出した。活動を終えた高岡会長は「各省庁、自民党奄美振興特別委員会にご理解いただいた。沖縄との連携を通して、世界のモデルとなるよう努力しなければならないと覚悟した」と振り返った。