かごしま総文・郷土芸能 奄美で開幕

大地を揺らすような迫力の蝦夷太鼓を披露した釧路江南高校和太鼓部の23人

圧巻 和太鼓の響き
会場にあふれる歓声と口笛
沖永良部エイサーは1日登場

 第47回全国高等学校総合文化祭(2023かごしま総文)の郷土芸能部門は30日、奄美市名瀬の奄美川商ホール(奄美文化センター)で開幕した。台風6号の影響で31日は中止となり、予定されていたプログラムは30日と1日に振り分けられた。開会式も10分繰り上げられ、簡素化したセレモニーとなった。最終日の閉会式も中止となり、審査員による講評、東京公演の出場権などの結果発表はホームページに掲載される。

 開会式では、同部門生徒実行委員長の桑原諒さん(奄美高校)が「1年がかりで準備を進めてきた。各校が実力を発揮できるよう全力でサポートする」とあいさつ。安田壮平奄美市長は「島嶼=とうしょ=地区での開催は初。生徒たちは交流を深めてほしい」と語り掛けた。

 発表は、鹿屋高校・尚志館高校(鹿児島)の伝承芸能「祭~鹿屋高須刀舞=かたなまい=」で開幕。鬼神と田の神が舞い、やりや弓矢を持った演技が披露されると拍手が沸き起こっていた。

 釧路江南高校(北海道)の蝦夷=えぞ=太鼓は圧巻。背面に3個の大太鼓、側面に12個の太鼓、前面に7個の小太鼓が配置され、広大な北の大地を感じさせるような躍動感であふれた。

 希望が丘高等特別支援学校(長崎)は、会場を感動で包んだ。〝響〟と大書した旗を背景に、黒とオレンジの法被姿の7人が力強いバチさばきを披露、演奏が終わると、「いいぞう」「ありがとう」と声が上がり、甲高い口笛の音が会場に響いていた。

 演奏は午後8時過ぎまで続き、11の伝承芸能、15の和太鼓の演技が観衆を魅了した。

 1日は午前8時半開場、9時から午後3時まで26校が発表する。沖永良部高校の伝承芸能エイサー「うむい~咲かちやりくぬ~」は、午前9時13分開始予定。

 


舞台裏へのエスコートボランティアをする地元高校生

汗を流す地元高校生ボランティア

 舞台演奏に会場が拍手に包まれる中、奄美高校の実行委員会や各高校のボランティアたちも汗を流していた。

 会場整理をしていた古仁屋高校2年・平瀬礼夢=れん=さん(17)は「練習やリハーサルを目にして楽しかった。太鼓の迫力ある音が心臓に響いた」、ドアマン役の同・濱田徳光=のりみつ=さん(17)は「昨年のプレ大会も参加した。ドアの外から聴く立場なので残念だったが、全国の優秀な演奏を聴けてよかった」と話した。

 プラカードを持って、会場入りした出場校のエスコートをしていた奄美高校2年・宮田星河=せいが=さん(16)は「他県の演奏を聴き、感動した」、大島高校3年・向井優美さん(17)は「同じ高校生とは思えない。新鮮な感覚を受けた」、同・町田玲偉さん(18)は「舞台の横まで行くので音の迫力を間近で感じる。すごい練習をしていることが伝わってくる」と間近にした感動を語った。

 受付をしていた大島北高校2年・田畑れなさん(16)は「昼食休憩の時、島内のほかの高校と交流ができて楽しい」、同・肥後楓香=ふうか=さん(16)は「昨年のインターハイ・カヌー競技で香川に行った際、現地の高校生のサポートを受けた。逆の立場になり、いい経験になった」と話した。

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 会場のホールでは、太鼓や芸能に関する販売ブースも設けられていた。東京・浅草で和楽器や雅楽器の関連商品を数多く扱う「宮本卯之助商店」では、さまざまなバチが並べられていた。ホウノキ、ヒノキ、メープル、カシとバチの材質は4種あり、太鼓の大きさや皮の種類によって使い分けるという。

 島根から母校・出雲農林高校の応援に駆け付けた奥屋陽介さん(18)は「後輩たちの太鼓は、技術も表現力も上がっていた」と演技を評価、卒業後も続けているという太鼓のバチを買い求めていた。

 発表を終えた高校生たちも幕間に比較的安価なアウトレットのバチを手にしていた。