ミカンコミバエ誘殺

ミカンコミバエ雄の生息を確認するトラップによる調査。7月末までに奄美群島では9匹が誘殺されている

 

 

奄美は前年比倍増
7月末までに9匹 寄生果実の発生なし

 

 

 果樹・果菜類の害虫ミカンコミバエのトラップ(わな)による誘殺数は、県のまとめによると2023年度は7月末現在10匹となっている。このうち9匹とほとんどが奄美群島で誘殺されており、前年度同期(22年度7月末現在)に比べ倍増しているが、幼虫やさなぎの寄生を示す果実は確認されていない。

 今年度に入り最初の確認は6月26日。奄美市名瀬長浜町と瀬戸内町加計呂麻島生間=いけんま=で、設置されている調査用トラップにより雄成虫が1匹ずつ誘殺された。

 経営技術課によると、これまでの誘殺数(7月18日までの合計で10匹)は県内5市町で確認されているが、このうち4市町(計9匹)が奄美。内訳は奄美市3匹、瀬戸内町4匹、伊仙町と徳之島町が1匹ずつ。残り1匹の誘殺は屋久島町。前年度は7月末までに7匹が誘殺されたが、奄美は4匹(瀬戸内町2匹、天城町と宇検村が1匹ずつ)で、今年度は倍に増えている。

 誘殺確認に伴う初動対応ではトラップや寄主果実の調査、誘殺板やベイト剤による防除が行われている。寄主果実調査の結果も発表されており、7月18日までに3市町(奄美市、瀬戸内町、伊仙町)で合計2772の果実が調査され、いずれも寄生はなし。こうした状況について農林水産省門司植物防疫所は「誘殺は発生国からの風による飛来とみられているが、寄生果実の発生はなく、続けての誘殺も確認されていない。今のところ侵入してきたものが防除されている」と指摘する。8月以降はミカンコミバエが最も好む植物とされるグアバ(バンジロウ)の果実が熟す時期に入ることから「誘殺が確認されている地域では、こうした寄主果実をならしっぱなしにせず、不要な果実は早めの処理を」と呼び掛けている。

 なお、植物防疫所のまとめによると今年度に入ってのミカンコミバエ誘殺は鹿児島県以外では、沖縄県で14匹、長崎県で2匹確認されている。このうち沖縄では6月27日~7月3日の週に8匹と集中。沖縄島北部の国頭郡本部町で7匹とほとんどを占めた。