世界平和のシンボル「大和慰霊塔を守りたい!」

世界平和のシンボル「大和慰霊塔を守りたい!」

経年劣化が進行し、下部が立ち入り規制された戦艦大和慰霊塔=伊仙町犬田布岬


修復費GCFに協力を呼び掛けた伊仙町の大久保明町長(中央)や伊田正則教育長(右)、前徹志議長ら=1日、同町役場

修復費GCF募金へ
伊仙町、寄付受け付けを開始

 【徳之島】「世界平和のシンボルを次世代に―」。伊仙町は、建立から55年を経てコンクリート片の剥落など劣化が著しく、周辺立ち入り規制を余儀なくされている「戦艦大和を旗艦とする第二艦隊戦没将士慰霊塔(戦艦大和慰霊塔)」=同町犬田布岬=の修復を計画している。1日、地方自治体によるガバメントクラウドファンディング(GCF)を活用した修復費用を調達するため寄付の受け付けを始めた。

 戦艦大和(7万2809㌧)を旗艦とする旧日本海軍第二艦隊10隻は、太平洋戦争末期の1945(昭和20)年4月7日、沖縄戦線への海上特攻途上に、米軍の機動艦隊・艦載機の猛攻で大和をはじめ巡洋艦、駆逐艦など6隻が沈没。乗組員や将兵3737人が犠牲となった。

 伊仙町犬田布岬の同慰霊塔は終戦後の68(昭和43)年、当時の迫水久常参院議員が発起人となった全国募金を実施。彫刻家で文化勲章受章者の鹿児島大名誉教授・中村晋也氏の設計によって「沈没地点に最短」とされた徳之島の犬田布岬に建立された。高さは大和の艦橋と同じ24㍍。奄美十景の一つで現在は国立公園となった犬田布岬の雄大な自然景観とともにシンボルとなっている。

 68年5月に高松宮殿下による揮毫=きごう=で碑文題字が飾られ、第1回慰霊祭がスタート。以来、毎年4月7日に慰霊祭が行われている。第50回慰霊祭(2017年)には三笠宮家の彬子さまも臨席され、「この慰霊塔が、日本だけでなく世界平和の道しるべになることを祈ります」と述べられた。

 修復費用のGCF実施期間は8月1日~10月29日(90日間)。受け付け窓口は「ガバメントクラウドファンディング・ふるさとチョイス」。目標額は1億8千万円。高額寄付者(100万円以上)には同島ツアー旅行券のほか、金額に応じて特産品などの返礼品がある。慰霊塔修復工事は11月1日~来年3月末を予定している。

 大久保明町長は記者会見で、建立の歴史的経緯を交え「世界では戦争が始まったり、厳しい状況にある。今こそ慰霊塔を修復し、世界平和のシンボルとして次世代に引き継ぐことが大事。自治体で守ることは難しいが、国内外の多くの皆さまのご賛同を得て進めたい」などとアピールした。

 問い合わせは、同町目手久の伊仙町きゅらまち観光課分室(電話0997・81・7055、ファックス81・7056)へ。