マンゴー農家ら再び困窮

台風による船便欠航で出荷停止したマンゴーを一時保管している徳之島町の冷蔵施設=2日、同町徳和瀬

台風6号 船便欠航が長期化へ
徳之島町が冷蔵施設で一時保管

 【徳之島】台風6号の接近に伴う船便の欠航続きで、徳之島でも収穫最盛期を迎えている特産果樹「完熟マンゴー」が本土出荷できずに滞貨し、品質劣化による損失懸念が再び拡大している。徳之島町は生産者らの要望で同町徳和瀬に2021年度整備、22年度から供用開始している町冷蔵コンテナ施設への一時保管受け入れを再開した。JA側は最悪の廃棄処分・農家損失の低減を図るため、地元消費者への直売会も提案している。

 徳之島3町におけるマンゴー栽培面積及び今期生産見込み量は▽徳之島町約3㌶、約20㌧▽天城町約3・5㌶、約27㌧▽伊仙町約2㌶、約8㌧。先月中旬頃から収穫が始まり、今月下旬頃まで予定。旬のふるさと納税返礼品用を含め現在、収穫最盛期にある。

 しかし、台風常襲地域にあって今期産も台風5号、台風6号と相次ぐ接近で船便の欠航が再び長期化。同6号にいたっては進路予想からして過去最長の影響を懸念する声もある。

 「樹上完熟」がモットーの同島産マンゴーの本土輸送には冷蔵保管による鮮度・品質の保持が重要。徳之島町は21年度、町総合食品加工センター美農里=みのり=館=同町徳和瀬=の敷地内に、事業費約1千万円を投じて冷蔵保管施設(コンテナ、自家発電機セット)を整備し、昨年産から受け入れを始めている。

 2日、収穫間もないマンゴーの保管依頼に訪れた同町母間の中島藤雄さん(81)は「生産者たちの要望に早期に対応いただき助かっている。冷蔵保存でも10日間程度が限度。関東・関西地区への輸送時間(約4、5日間)だとその分短くなる」。航空貨物便については、機材の小型化に加えて、常温による輸送・保管中の品質劣化をネックに挙げている。

 搬入に対応していた町農政課の常山慎平係長(35)は「農家の大切な農産物が、台風の影響で滞貨し、廃棄処分にされる最悪のケースが実際に起きていた。町としては損失を回避し、少しでも農家の皆さんの所得向上につながれば」と話した。

 同町では、台風による船便欠航が9日間に及んだ21年の7月下旬には、町役場玄関ホールで地産地消の即売会も開いて支援。町冷蔵施設整備までの間は、JAあまみ徳之島事業本部が希望農家のマンゴー保管に協力した。今回の長期化気配に、同事業本部の叶貴嘉園芸課長(50)も「最悪の廃棄、農家損失を少しでも防ぎたい」として、地元直売会の開催を管内各町に提案している。