影響長期化、備蓄野菜底つく

台風に備え仕入れた野菜も底をつき、ガランとなった冷蔵庫

名瀬中央青果 フェリー欠航5日連続で島外入荷なし
台風再接近「想定していなかった」

 大型で強い台風6号の影響で、鹿児島と奄美群島を結ぶフェリーは、7月29日に鹿児島市を出港した便を最後に欠航が続いている。奄美群島のスーパーなどでは生鮮食品を中心に品切れの状態となっており、奄美市の名瀬中央青果㈱では4日、5日連続で島外からの移入野菜の入荷がなく、台風接近を見越して多めに仕入れていた品物もほとんど底をついた。また、マンゴーやパッションフルーツなどは島外出荷ができず、取引価格も台風接近前の半値以下となるなど大きな打撃を受けている。

 名瀬中央青果によると、台風の影響で先月31日以降、島外からの入荷がない状況が続いているという。欠航を見越し、同青果では30日着の船便で、キャベツ30箱(1箱10~12㌔)など2日分の野菜類を仕入れ、市場内にある冷蔵庫に保管。1日から市場での取引を行っているが、4日の取引終了時点で、冷蔵庫内に残っているのは、キャベツ10箱と大根2箱、シメジ1箱などわずか。庫内はガランとしていた。

 同青果の担当者は「台風の進路などの予想から2日分の備蓄で大丈夫と判断したが、これだけ大きく進路が変わることは想定していなかった。5日の取引で、島外から仕入れた野菜は全部なくなってしまう。週明け7日以降の入荷の見通しは立っていない」と話した。

 今回、2日分の仕入れにとどめた背景には、市場での値崩れへの懸念もあったという。担当者は「多く仕入れすぎると、取引価格が仕入れ値を割り込んでしまうこともある。企業としては採算性も考慮する必要があり、これまでの経験値などから入荷量を決めているが、これだけ台風が迷走するとは。予想が甘かった」と話した。

 一方で、主に島外に出荷されるマンゴーやパッションフルーツ、バナナなどの果物は、台風の影響で出荷できず、値崩れを起こしている。同青果によると、台風の影響が出る前の7月30日に1箱4104円で取引されていたマンゴーは3日、1404円まで下落。担当者は「マンゴーは温度管理が難しく、出荷が滞ると、すぐに取引価格に影響が出てしまう」と話した。

 台風は週末にかけて奄美地方に最接近する見通しで、船便の欠航がさらに長期化する恐れもあり、担当者は「来週以降、取引できる島外野菜はなく、島内の生産農家への影響もさらに大きくなる」と頭を抱えている。