長引く避難所生活

近隣住民の協力で5日午後から避難生活を送る高齢女性(7日正午頃=奄美体験交流館)

「家より安心」
おしゃべりで乗り切る
沖永良部、与論は発令解除

 めまぐるしく進路を変える台風6号。暴風域から抜けた沖永良部2町や与論町では避難発令が解除され避難所が閉鎖された。一方、奄美地方北部は9日まで暴風域が続く見込み。奄美市内の一部避難所では、「家で不安な時間を過ごすより安心」と、9日午後と予想される台風通過まで避難所生活を決めた住民がいる。

 奄美市は5日午前9時に市内67か所に避難所を開設したが、風雨の状態が小康状態となったため、6~7日にかけ一部の避難所を残し閉鎖、7日午後4時時点で22か所となった。

 同市住用町の奄美体験交流館には7日正午現在、3世帯3人が避難。全員が5日午後から避難しており、いずれも一人暮らしの高齢の女性。身を案じた区長や近隣の友人が避難を勧め移動に協力したという。

 同市和瀬の田中順子さん(85)は「線状降水帯の予報が出ていたので心配していた。区長が送ってくれた」と、ほっとした表情を浮かべていた。

 同市城(ぐすく)の脇サエコさん(79)の住居は、道路から約2㍍下がった位置にあり、過去には軒下まで水があふれる浸水被害があったという。「不安な気持ちで家にいるより避難所の方が安心」と話した。

 脇さんの隣家に住む辰島玲子さん(85)は、過去2回の避難経験でいずれも被害がなかったことから「今回は家に残ろう」と考えていたという。近隣住民が声を掛け、脇さんと一緒の避難を決めた。

 「昼は3人でおしゃべりして過ごし、夜は早めに寝ている。交流館の人も親切で、レトルト食品を作ってくれる。畳が硬く腰が痛くなる以外不満はない。至れり尽くせり」とそろって笑顔を見せていた。

 各自治体による7日午後4時現在の避難者数は▽奄美市35世帯、47人(名瀬16世帯、26人/住用11世帯、11人/笠利8世帯、10人)▽龍郷町24世帯、31人▽瀬戸内町49世帯、65人▽大和村15世帯、21人▽宇検村15世帯、25人▽喜界町19世帯、24人▽徳之島町4世帯、4人▽伊仙町0人▽天城町8世帯、11人。

 和泊町、知名町、与論町は避難発令を解除、避難所も閉鎖された。