大島地区7月子牛競り

総平均50万円下回る
コロナ禍の最低時以下に 商品性で価格差拡大予想
下落は3月から連続

 JA県経済連肉用牛課奄美市駐在がまとめ、公表した2023年7月の大島地区子牛競り市結果によると、子牛市況の総平均は49万6984円で、前回(5月)比2万3943円下落した。最近の市況では新型コロナウイルス感染症の島内発生の影響もあり、大幅に下落した20年5月競りの51万3006円が最低だったが、この価格以下と厳しい相場となった。

 7月競りは1日(与論市場)にスタートし、6日(奄美大島、喜界両市場)に終了。全体の入場頭数は1909頭(雌822頭、去勢1087頭)で、全て売却された。平均価格は雌43万5000円(前回比2万4416円安)、去勢54万3857円(同2万1417円安)といずれも下落した。

 合計平均価格にかかわる市場ごとの順位をみると、徳之島の50万5590円を筆頭に、奄美大島、沖永良部、与論、喜界の順。購買者から見た子牛評価の指標である平均単価(キロ当たり)で市場を格付けすると、沖永良部の1919円を筆頭に、与論1866円、徳之島1837円、喜界1790円、奄美大島1778円の順。競り日齢にかかわる市場ごとの若齢順位は、喜界252日、沖永良部255日、与論262日、徳之島263日、奄美大島264日の順となっている。

 3月競りから連続している相場の下落要因について同駐在は、▽牛枝肉相場が軟調に推移▽資材高騰などにより飼育コストが高騰▽現在出荷している肥育素牛=もとうし=が高値であることから利益確保が難しく、高値で購買できない―などを挙げる。全国的に子牛相場は軟調に推移しているほか、6月(4月出荷分)はマルキン(肥育経営安定交付金)の発動がなく肥育農家の資金繰りが厳しくなっていることも影響していることが考えられるという。

 今後の子牛相場については、「牛枝肉相場や飼料高騰などの影響を受けて、軟調傾向が予想され、商品性によっては価格差が拡大するものと思われる」と指摘。農林水産省が臨時対策として措置した繁殖農家向けの価格補填=ほてん=事業(和子牛生産者臨時経営支援事業)の4~6月分が発動されたことについては「九州沖縄ブロックは1頭あたり1万5000円交付が決定している。補助金が交付されても厳しい状況だが、日頃の管理をしっかり行い、商品性の高い子牛づくりに励み、少しでも高値で販売できるよう努めてほしい。長く畜産経営を続けていただきたい」と呼び掛けている。

 なお、奄美群島である大島地区全体の子牛相場(総平均価格)は70万円~60万円台の後半が続いていたが、新型コロナ感染拡大による消費の冷え込みで20年3月競りでは62万8553円となり、15年11月(60万2538円)以来の下げになった。翌5月相場(51万円台)はさらに大幅下落したが、その後は徐々に持ち直していた。