大和村国直でウミガメミーティング

参加者に見守られる中、ゆっくりと海に帰るアオウミガメ(13日、大和村の国直海岸)

生態や現況、保全取り組み報告
観察会ではアオウミガメの放流も

 奄美海洋生物研究会(興克樹会長)とNPO法人TAMASU(中村修代表)は13日夜、ウミガメミーティングを大和村の国直公民館で開催した。奄美大島に産卵のため上陸するウミガメの生態や現況、同集落による保全の取り組みを報告。国直海岸では保護されたウミガメを放流する観察会も行われた。

 同研究会は、ウミガメの産卵環境の保全を目的に2012年設立。ミーティングでは、上陸・産卵などの調査報告、観察会が行われ、奄美大島各地で実施。今回、4年ぶりの開催となった国直では親子連れなど約50人が参加した。

 奄美大島のアカウミガメの産卵回数について興会長(52)が報告。調査を開始した12年の605回から22年の96回と減少。日本は北大西洋地域では唯一の産卵地にあたるが、他地域と比べると相対的な産卵数が少なく、全国的にも減少傾向と現況を説明した。

 国直海岸で漁網に絡まる事案や、川下の転落事故から救出する「ウミガメレスキュー」について中村代表(55)が説明。ほかにも、集落海岸沿いの街灯に赤色の遮光プレートを取り付ける「国直スモモロード」を報告した。

 通常、孵化=ふか=後のウミガメは、夜間に月明かりが照らされた海へと向かうが、国直では街灯が照らす陸上へ上がる事故が続出。興会長の助言で12年から、産卵から孵化する頃の集落全体の取り組みで、中村代表は「暗い赤色街灯は、住民にご迷惑をかけているが、ウミガメを守ることは自然を守ること。自然とつながりがある国直集落にとっては、自分たちの暮らしを守ることとして、ご協力いただけていると思う」と話した。

 観察会では21年1月、奄美市笠利町節田で保護、奄美海洋展示館(奄美市名瀬)で飼育されたアオウミガメを放流。神奈川県在住、奄美市名瀬出身の小澤友美さん(34)は息子の陽人君(8)と参加。「子どもの頃、母親に連れられて経験したウミガメの観察を今回息子にもさせられて良かった」と話した。