墓参で「送り盆」

帰省客たちの姿も目立った「送り盆」の光景=15日夕、徳之島町亀津北区

一族の無病息災も祈願
徳之島町亀津地区

 【徳之島】月遅れ盆最終日の15日夕、徳之島町亀津北区の共同墓地エリアでは、住民や盆帰省客たちが先祖や故人の霊を伴って次々と墓参していた。手料理や焼酎など墓前に供え、車座になって酒食を交わして一族郎党の無病息災を祈る、いつもながらの「送り盆」の光景が見られた。

 徳之島地区は盆帰省客らにも合わせて月遅れ盆が主流。新型コロナウイルスによる移動規制が解かれた昨夏から帰省客の姿も回復の兆しが見られていたが、今夏はさらに回復傾向となった。徳之島なくさみ館(伊仙町)で13、14日の両夜開催された「盆闘牛大会」も満員状態だった。

 一方では、台風6号の影響で物流の混乱が長期化。店頭では青果物など食材を中心に盆用品の品薄が続いたものの、先祖の位牌=いはい=を祭る本家筋では、創意工夫して心尽くしの手料理や茶菓を供えて3日間もてなした。

 徳之島町亀津・亀徳地区の送り盆の形式は「迎え盆」(12日)同様、先祖の霊をお供して墓参するが、自宅の門口や先祖伝来のつじ先などで「送り火」をたく集落もある。島内の各地区によって風習もさまざまに継承されている。

 徳之島地区最大の亀津北区の共同墓地エリアでは、西日が和らぎ始めた午後5時すぎ、家族連れなどが三々五々訪れた。それぞれ墓前で送り盆の儀式を終え、一族郎党で車座になって無病息災も祈願した。

 家族4人で東京都内から帰省していた会社員男性(40)は「台風の影響は回避できたが、島に帰省するにも高い航空運賃が最大のネック。だが、親兄弟や島の自然も含め、ふるさとの島で癒やされるとモチベーションが高まる」と満足そうだった。