4年ぶり「むちたぼり」復活

神秘的な〝白布の舞い〟が4年ぶり復活した「むちたぼり」。見物客らを魅了し、集落は活気に包まれた(15日夜、徳之島町手々)

幻想的な〝白布の舞い〟
徳之島町手々

【徳之島】徳之島町北端の手々集落(中島要区長、53世帯86人)で15日夜、コロナ禍で中止を余儀なくされていた伝統行事「むちたぼり」(町指定文化財)が4年ぶりに復活した。頭から白布をまとった男性と浴衣姿の女性ら踊り連が、長老格の唄者たちによる三味線、太鼓、歌に乗せて幻想的で軽快な踊りを披露しながら家々を訪問。日頃閑静な過疎集落が町内外からの見物客らも交えて活気に包まれた。

手々集落の「むちたぼり」の源流は、稲作文化に根差した収穫感謝や豊作祈願の「ムチタボレ」「アキムチ」などと同列の秋祭りとされる。頭上からすっぽりと白布をまとい扇子と棒を手にした男性陣の一種独特のいで立ちの由来は諸説がある。本来は秋祭りだが、約23年前から出身者ら帰省客が多い月遅れ盆の最終日に引き寄せて盆踊りと併催している。

本来は午後5時頃からまず子ども連が数軒を練り歩くが、手々小中学校の全校児童生徒数は6人(うち留学生2人)に減少したこともあり、午後8時からの一般の部との合流開催に移行した。

家々で「送り盆」の儀礼を済ませた午後8時すぎ、老若男女の踊り連約40人が唄者らを先頭に主会場の手々小中校庭を出発。慣例通りにかつての「殿地」と伝わる井上キクエさん(88)宅を皮切りに、集落4小組合の各代表宅を訪問。それぞれの庭先で〝白布の舞い〟を披露した。見物客ら総勢約50人が家回りの後を追ってカメラを向けていた。再び校庭に戻って盆踊りの輪も広げた。

同集落の中島区長(47)は「子どもの数が減って(手々小中の)地元出身の子はついにゼロ。伝統行事を継続するため今年から大人の部(踊り連)と合同開催にした。『むちたぼり』は住民たちの心の絆を結ぶ原点。少子高齢化で継続の厳しさは増しているが、掛け替えのない伝統を守っていきたい」と話した。