チャレンジ成功 奄美市長に報告

密航陳情団の軌跡をたどるカヌー航海の成功を報告する結人プロジェクトのメンバーと安田市長(18日、奄美市役所)

密航陳情たどるカヌー航海
奄美―トカラ―鹿児島

 戦後の米軍統治下にあった奄美大島から、日本復帰を訴えるため命がけで本土に渡った「密航陳情団」の軌跡を6人乗りカヌーでたどる航海に挑んだ「結人(ゆいんちゅ)プロジェクト」のメンバー7人が18日、奄美市役所を訪れ安田壮平市長に航海の成功を報告した。

 プロジェクトは奄美市を中心に集まったメンバー18人が、奄美群島の日本復帰70周年を記念して企画。一行は、7月20日に奄美大島から宝島へ船で移動。翌日、6人乗りのアウトリガーカヌーで宝島を出発した。

 航海には小型船が伴走、メンバーは海上でこぎ手を交代しながら約300㌔を縦断。悪石島、諏訪之瀬島、口之島、口永良部島、竹島、指宿市を経由し27日にゴールの鹿児島市の磯海水浴場に到着した。

 島々では島民らの熱烈な歓迎も受けたと言い、同プロジェクト代表の白畑瞬さん(38)は「航海中は黒潮の早い海流や台風6号のうねりなどもあって大変だったが、みんなで協力して航海を成功できた。口之島では、90代のおばあちゃんから密航船の話を聞くこともできた。島々で出会った人たちや一緒に挑戦した仲間との絆など、かけがえのないものを手に入れることができた。プロジェクトを支えてくれた多くの人に感謝したい」などと話した。

 報告を受けた安田市長は「誰もが挑戦できることではない。密航陳情団が日本復帰を願い命がけで海を渡った歴史を多くの人に知ってもらう機会をつくってくれたことに感謝したい。この体験を子どもたちや若い世代に伝えていってほしい」と話した。

 プロジェクトのメンバーは10月頃をめどに、奄美市で報告会を開く予定で、白畑さんは「プロジェクト活動を通し、密航陳情団をはじめとする日本復帰運動に携わった先人の思いを多くの人に伝えていきたい」としている。