ガソリンが過去最高水準

原油価格の上昇でガソリン価格の高騰が続く奄美大島の給油所(18日、奄美市名瀬)=一部加工してます=

「どこまで上がるのか不安」
奄美大島でも上昇続く 1㍑191円

 ガソリン小売価格の高騰が奄美大島でも直撃している。経済産業省の発表によると全国平均のレギュラーガソリン1㍑当たりの店頭価格(14日時点)は前週比1円60銭増の181・9円で、奄美大島でも過去最高水準で推移している。円安や減産などを背景に、値上げは止まる気配がない。島民からは「どこまで上がるのか先が見えない」と不安の声も漏れている。

 奄美市内にある給油所では18日、給油する車が次々と訪れていた。50代女性は「何もかも値段が上がって家計は大変。(車を使う)外出もおっくうになる」と困惑。76歳男性も「年金額は変わらないのに、出費は増えるばかり。どこまで増えるのか心配だ」と思案顔だった。

 全国での価格上昇は13週連続。鹿児島県内のレギュラーガソリンの平均価格は187・8円で、長野県に次いで全国2番目に高かった。

 県石油商業組合大島支部によると、奄美大島でも6月以降は徐々に上昇している。月1回の改訂日に当たる14日は、仕入れ価格の上昇を受けて、レギュラーガソリン、軽油、灯油をそれぞれ値上げ。支部加盟6店の平均店頭価格は、税込み1㍑あたり191・7円、軽油は180・9円、灯油は147・3円で、先月比各8円増の仕入れ価格がそのまま反映された。

 大豊石油取締役統括部長で同支部の川上利治支部長は「流れに乗るしかない状況。国や政府に動きはなく、早く方向性だけでも示すべき」と警戒。「このまま円安などが進めば200円以上もあり得る」などと危機感を示す。

 ガソリン価格の高騰には、事業者らも困惑を隠せない。奄美市名瀬の大島タクシーでは、今年1月に34~35%を占めていた燃料費の支出は、6月には44~45%まで増えた。川節まり子代表取締役は「勝手に値上げもできず苦しい状況。企業努力だけでは限界もある」と吐露。「(節約など)何ができるのか考える日々で、何とか治まることを願うしかない」と話す。

 政府は22年1月から、石油元売り各社に補助金を出し、ガソリンスタンドへの卸売価格から差し引く仕組みで価格を抑えてきた。今年に入り、原油価格が落ち着いたことなどを受け、政府は補助額を段階的に引き下げ、9月末にはゼロなる。

 ある給油所の担当者は「(燃料の高騰で)悪者になるのはいつもガソリンスタンドばかり。いくら考えても答えは出ないが、政府には(トリガー条項の再検討など)わかりやすい政策を期待したい」と話した。