徳之島町亀徳4年ぶり「ネンケ」復活

水しぶきと絶叫、パニック状態のにぎわいとなった「ネンケ」行事=20日午前10時すぎ、徳之島町亀徳

水しぶき乱舞、絶叫パニック

【徳之島】徳之島町亀徳地区(実山正樹区長、597世帯・1300人)の伝統行事「浜下(う)り」と水かけ祭り「ネンケ」(亀徳青年団主催)が20日午前、4年ぶりに同地区の県道であった。地区内外から若者ら約200人が結集して勢いよく冷水を浴びせ合い、お互いの無病息災を祈願した。水しぶきと絶叫調の黄色い歓声が交錯し、パニック状態のにぎわいとなった。

南島古来のニライカナイ信仰に根差した「浜下り」の関連行事の一つ。古くは無病息災祈願や水難者の供養、気心の合った異性間の意思表示にも利用されたとの口承もある。数年前までは偶然通りかかった一般車両や歩行者たちにも無礼講の冷水の洗礼を浴びせていた。

青年団がけん引役となり、目抜き通りの県道一部区間の通行止めにして実施。残暑を吹き飛ばす水かけ遊びの交流といった娯楽的要素を一層強めながら継承されている。

快晴下の午前10時、集落マイクから流れた勇壮な「軍艦マーチ」で水かけ合戦の火ぶたが切られた。消火栓バルブ全開で仮設水槽にためた冷水を、住民たちがバケツや洗面器でくんで勢いよく浴びせ合った。水しぶきが乱舞、絶叫が続いた後は、亀津地区から参加の小学生グループなども交え綱引き交流も。互いの援軍による対戦相手への水攻め作戦でも沸かせた。

亀徳青年団の玉利祐希団長(31)は「新型コロナの影響で4年ぶりとなったが、団員(約20人)たちの一致団結で開催できた。今後も若い力で地域を盛り上げたい」。実山区長(73)も「浜下り相撲大会は少子化もあって途絶えたが、ネンケは青年団が頑張ってくれてありがたい」と目を細めていた。

夕方からは、住民たちが一重一瓶を手に亀徳児童公園に集い、伝統の「浜下り」交流で絆を確かめ合った。