知事定例会見

奄振概算要求「充実した内容」
生活物資備蓄「調査をしたい」
夜間中学校 25年4月開校目指す

塩田康一知事は25日、県庁で定例記者会見を行った。24日に国土交通省が発表した2024年度奄美群島振興開発事業関係予算概算要求(23年度当初予算比約7%増の213億6800万円)について「公共事業や交付金、沖縄との連携を含めて充実した内容になっており、奄振の今後の改定に向けて国交省で尽力していただいた」と評価した。

奄振法は今年度で期限を迎えるが、知事は「これまで県の方で総合調査を行ったりしながら政府に法の延長及び内容の充実を要望している。県の要望も踏まえた形で政府の方で要求を取りまとめており、これから年末の予算案の策定に向けて継続的にしっかり要望していく」と決意を示した。

台風6号の影響で船舶の欠航が長期化し、生鮮食料品を中心とした生活物資が不足、改めて離島における備蓄の在り方が問われている。知事は「必要な物資を確保するため、いろんな調査を県の方でもしたいと思っている。食品その他の物資について、どういう形で確保するか検討していきたい」と述べたが、具体的な方法までは踏み出さなかった。採血用の血液製剤が不足する事態にも陥ったが、知事は「今回は通常なら17本の備蓄のところを27本にし、台風に備えて少し多めに用意した。ところがA型は残り3本となり、あと幾つか大きな手術があれば足りない状態だった」と報告した上で、「ただO型の血液製剤がまだ数本残っていたことから、それほど大きな影響はなかったと聞いている。今回のような長期間にわたり物資が送れないという事態に、どのようにして住民の安心安全を確保するか、備蓄の在り方について引き続き考えていきたい」とした。

戦後の混乱などで義務教育を十分に受けられなかった人が学ぶ夜間中学校に関する県の有識者検討委員会は今月18日、「夜間中学校を、県主体で早期に鹿児島市内に設置すべき」とする提言を取りまとめ、地頭所恵県教育長に提出した。この提言を受けて知事は「本県初の県立夜間中学を、25年4月の開校を目指し、交通利便性も良く、夜間課程のノウハウもある(鹿児島市の)県立開陽高校敷地内に設置する方針を決定した」と発表した。生徒を受け入れる教室は既存の施設を活用するとし、校長室や職員室などは敷地内に整備する。同高校は同市西谷山にあり、電車やバスといった公共交通機関に近く夜間でも通学が可能という。

県教委が22年に行った調査では136人が夜間中学校への入学を希望しているとされたが、奄美群島など離島や遠隔地の受講者にはオンラインの活用を検討している。知事は「教育を受けられなかった人や外国人などできるだけ多くの人に義務教育の機会を提供する意義のあること」と述べ、学校名やカリキュラムなどは今後検討していくとした。

このほか国体関係で県選手団の結団式を今月29日に鹿児島市の川商ホールで、炬火(きょか)到着式を来月7日に県庁で行うことが発表された。